アメリカにおける不動産購入の常識や、良物件の情報などを、日本人投資家が知り得ることは難しい。そのようななかで、出口の描きやすい物件を手に入れるにはどうしたらいいのか。株式会社オープンハウスのウェルス・マネジメント事業部・高山吏司氏、ブロドスキ・ザクリ氏、豊岡昴平氏の共書『日本人が絶対に知らない アメリカ不動産投資の話』より一部を抜粋し、オンマーケット(市場に公開されている物件)での不動産購入におけるポイントを解説していく。※アメリカ不動産投資 詳しくはコチラ

エリア選びのポイントは「現地に根付いた事業活動」

アメリカでの不動産取引の大多数を占める、オンマーケット(市場に公開されている物件)での不動産購入の一般的なプロセスは、次のようになります。

 

【不動産購入の一般的なプロセス】

 

① 情報収集、物件選定

② オファー(購入申し込み)・条件交渉

③ 売買合意

④ エスクローのオープン

⑤ インスペクション、タイトル調査

⑥ 価格再交渉

⑦ 決済、物件引渡し

⑧ 修繕、リノベーション(必要に応じて)

 

 

①の物件選定において、購入する物件のエリアを選ぶ際には、アメリカ人の目を持つことがポイントです。(関連記事:アメリカ不動産投資…「現地人も欲しがる」物件選びのコツ

 

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例えば、日本人に「アメリカのどこで不動産投資をしたいですか?」と聞くと、おそらくハワイのワイキキ、ロサンゼルス、ニューヨークのマンハッタンなどが挙がるのではないでしょうか。

 

高いブランドイメージを持つマンハッタン
日本人が高いブランドイメージを持つ街、マンハッタン

 

いずれも、日本人に親しみが深く、高いブランドイメージを持つ街です。

 

しかし、アメリカ人投資家の目線でそれらのエリアを見てみると、物件価格が高すぎて出口が見えにくい、利回りが低すぎるなど、投資としてのメリットが小さい場合がほとんどです。

 

もちろん、かっこいいとか、遊びに行きたいという理由でそれらの物件を購入しても良いのですが、その場合は投資というよりは、実需が目的だと割り切る必要があります。

現地のリアルな「土地勘」は、なかなかわからない

私たちの取り扱う物件があるダラス都市圏で、日本人の投資家の方々から投資先として最初に名前が挙がるのは、トヨタ北米本社がある事で有名なプレイノ市です。「最近、トヨタも移ったし、今後伸びるだろう」ということでしょう。

 

実際、トヨタ北米本社があるプレイノ市西側エリアは、便利で住環境は抜群です。そして、2017年からトヨタ北米本社の機能が本格的に稼動し、4000人もの雇用が生まれました。しかし、トヨタが移転を発表したのが2014年ですが、うわさはその前から流れており、アメリカの不動産投資家は、とっくの昔に物件を買い始めていました。

 

それに加えて、トヨタ北米本社の近くでの、JCPenny(デパート)の本社移転、周辺の商業開発施設の完工などもあり、実需の需要が急増し、すでに価格は過熱気味な状態になっています。

 

その一方で、投資物件の急増によりコミュニティーのクオリティーが下がることを懸念した同エリアのHOA(Home Owners Association)が賃貸に制限をかけるケースも増えています。つまり、今から投資をするのは、無理とは言わないまでも、相当難易度が高くなっています。

 

そのため、私たちは、トヨタ北米本社があるプレイノ市西側エリアではほとんど物件を仕入れておらず、今後の発展が予想され、上昇余地があるプレイノ市の東側や、プレイノ市周辺都市に積極的に力を入れてきたのです。

 

このように、一口にプレイノ市と言っても、西側エリアと東側エリアとでかなり不動産投資状況は異なっており、そういうリアルな「土地勘」は長い間現地に根付いて事業を行っていないと、なかなかわかりません。

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「アメリカ人の目」を持つためには

私たちは、州や都市毎の情報だけでなく、郵便番号毎や各コミュニティー毎の詳細情報をもとに、仕入れの判断を行っているのです。

 

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また、よりエリアに精通するため、初めて仕入れを行う地域では、購入予定エリアの近隣のショッピングモールや個人商店、レストラン、学校、コミュニティーセンターなどを片っ端から訪問して、エリアやコミュニティーの評判を聞いて回ります。アメリカ人は気さくでオープンな人が多いので、「あそこの家を買おうと思ってるんだけど」と素直に聞けば、自分の知っていることや考えを教えてくれる場合が多いのです。

 

このように、現地に根付いて足を使って、体を動かして、さまざまなことを実感していくなかで、「アメリカ人の目」を持つことができるようになってきます。

 

私たちの駐在員は、米国の学校を卒業していて滞在期間が長く、ある程度はアメリカ人の目をすでに持っている者も多くいます。しかし、非ネイティブの私たちでは、生粋のネイティブにはかなわない部分がどうしてもあるので、現地スタッフに多くのネイティブを採用し、彼・彼女たちの意見も採り入れていくことは当然です。

 

このようにして、ネイティブの目で物件選定、エリア選定をしながら、その物件に対して、日本人クオリティーでのリノベーション、修繕、管理を行っていく、それこそが私たちのビジネスにおける最大の強みであり、根幹であると考えています。

オファー価格が決定するまでの流れ

次に②オファー(購入申し込み)・条件交渉について説明します。

 

まず、オファー価格を決めます。この価格提示は非常に重要です。当然ながら、1ドルでも安く仕入れることが、私たちから物件を購入される日本の投資家のメリットになりますので、なるべく安い価格を提示したくなります。

 

しかし、あまりにも安いオファー価格の提示では、相手に条件交渉のテーブルにすらついてもらえません。それどころか、売主エージェントとの関係が悪化して、その後の取引に悪影響を与える場合もあります。

 

そこで、オファーする時期をずらしたり、あえて具体的な金額提示をせずに交渉する場合もあります。目先の利益と、長期的な利益の両面にバランスよく配慮する必要があるのです。

 

また、オファー後に、先方からカウンターオファー(逆提示)が出されることもあります。さらに、決済までの各段階で価格交渉があることが普通なので、その後の交渉の戦略上、「この価格で買いたい」と思う価格よりあえて安くオファーを入れたり、あるいは高く入れたりすることもあります。

 

その設定ノウハウや交渉テクニックについては、個々の物件により異なるため詳しく説明することは困難です。しかし、なんでもかんでも低めの価格で提示すればいいというような単純なものでないことは確かです。

 

一般的な個人が物件を購入する場合、通常、成約してから融資手続をするので、その確認に時間がかかり、決済までの期間が延びます。また、融資が下りなければペナルティー無しで契約を解除できるという「ローン条項」を希望する場合が多くあります。

 

売主からすると、成約はしたけれど融資が下りずにキャンセルされる可能性があるわけです。

 

オファーの際に現金で支払うことを申し出ると、決済までの時間が短縮されますし、融資が下りないことによるキャンセルもないため、売主は現金決済を喜びます。

 

オファーの条件に両者が同意できれば、成約(仮契約)となります。この段階でエスクロー期間を設けるためのオプション金(数百ドル程度)を支払います。

 

 

 

豊岡 昴平
株式会社オープンハウス ウェルス・マネジメント事業部

 

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本連載は、2019年3月13日刊行の書籍『日本人が絶対に知らない アメリカ不動産投資の話』から抜粋したものです。最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

日本人が絶対に知らない アメリカ不動産投資の話

日本人が絶対に知らない アメリカ不動産投資の話

高山 吏司
ブロドスキ・ザクリ
豊岡 昂平

幻冬舎メディアコンサルティング

2年間で約700棟の物件を仲介する今もっとも注目の最強集団が 本邦初公開の知識を惜しげもなく明かす! アメリカ不動産投資の知名度は、以前と比べれば上がっているとは言え、やはり「投資目的で、海外の不動産を購入する」…

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