都内・築古アパートでクレーム続出!せっかく売却したのに…

物件の周辺環境の変化、急な修繕、家賃滞納など数々のリスクが潜む不動産投資。資産形成の手段として注目が集まっているものの、事前にリアルな失敗パターンを知ることは必要不可欠です。そこで本記事では、多くの個人投資家にコンサルティングを行い、不動産投資の方法を提案する、株式会社カクセイの平山智浩氏・渡辺章好氏の共著『失敗例から学ぶ 儲かる不動産投資の極意』(幻冬舎MC)より一部を抜粋し、不動産投資の実態を紹介します。

自宅購入時にお世話になっていた不動産に頼んだら…

【売却後にクレームが続出】

 

長年、都内S区に住んでいます。10年前に自宅のそばに築古のアパートを購入して昨年売却しました。依頼したのは自宅からほど近くにある大手業者です。

 

自宅購入のときにお世話になっていたので、安心していたのですが、売却後になってから建物のことや入居者のことなど、何度も何度も問い合わせやクレームが入って煩わしく思っています。最近、雨漏りのトラブルが出て、こちらが修繕しなくてはいけないような話も出ています。築古アパートだから仕方ないのでしょうか。

 

クレームが止まない…
クレームが止まない…


 

◆売却後のトラブルを避けるためには

 

売却で現金化するにあたり「トラブルが起こらずスムーズに売却したい」とは誰もが思うところです。物件が古くなり、入居者さんも高齢の人が増えてきた。あるいは若い人がメインだと、属性がそんなに良くない。自分で入居者のこと全部把握できていない。こういった物件は、持っていればこの先リスクも増えて、いろいろトラブルが起こりそうだと売却の候補となります。

 

この投資家は「引き継ぎ時にトラブルは避けたい」と考えて、すでにご自宅の購入で取引のあった地元の大手不動産業者に売却を依頼しています。地元で信頼のある会社であれば、そのネームバリューにはたしかに安心感がありますし、仕事で大きな間違いを犯すこともほとんどないでしょう。

 

しかし、収益物件を売却する場合は少し事情が変わってきます。売却を依頼したアパートは、大手では普通の一般不動産と同様に取り扱われます。

 

買い手となるお客さんの層は幅広くなるのはメリットであり、デメリットでもあります。クセのある物件を売りに出しているのだから、運営能力の高い投資家に、きちんと理解したうえで買ってもらわないと、後からクレームが続出する可能性が高くなります。

 

特にマイホームをメインとしている仲介業者では、収益物件のノウハウが少ないものです。売却する準備段階で事前にわかっていたことを、きちんと買い主に伝えていないため、売った後でトラブルになることもあります。

 

オーナーとしてトラブルのない売却のための準備としては、工事履歴をしっかり残しておきましょう。雨漏りが過去にあった物件でも、「いくらの費用をかけて、どういう工事をしたのか記録が残っています」ということであればハンデになりません。例えばシロアリ工事をしていれば、保証が5年とか7年つくので、その保証書があれば、何か起こったとき、そのシロアリ業者が保証により対応してくれます。

 

やはりきちんと履歴を残しておくことが、自分の資産防衛になるわけです。過去に工事をやったにもかかわらず、書類が残っていなくて、何年前だったかも定かでない。これでは、買主に説明がつきません。買う人だってエビデンスがないと安心できないという話になります。

 

できれば、よい形でいつでも売れるように日頃からきちんと管理をしておくべきです。オーナーとして「不動産屋に任せれば不労所得だ」ではなく、情報を共有して整理しておくのが大切です。

 

物件数が多かったり、本業が忙しい事情があるにせよ、物件を把握していない、努力もしていない。仮に管理会社に落ち度があったとしても、結局自分に全部返ってくることになります。

「とりあえず、レインズに載せてみますね」は要注意

◆売却依頼する業者の選び方

 

やはり収益物件の取り扱いに慣れていて、物件に関する情報をしっかりヒアリングしてくれる会社に売却依頼するべきです。売却するときに「とりあえず、物件の情報を渡すので、レインズに載せてください」とか「広告打ってください」というのは普通の不動産の売り方です。

 

特に収益物件の場合、私たちが物件をお預かりしたら、まずは賃貸契約書など必要書類が全部揃っているか、鍵はきちんとオーナーさんが管理しているかを、ヒアリングして確認することから始めます。

 

不動産会社に管理を任せている場合、不動産会社がきちんと管理していない場合もあります。そのあたりも含めてきちんとヒアリングして、資料があるかないかも確認します。

 

一見、面倒なことを私たちが行っているのは、売却するときに少しでも足元を見られる要素を減らすためです。収益物件を購入するのは、売り主同様、投資家層なので、どうしても指値が入りやすいものです。ここで足元を見られるような状態で物件を売りに出せば、買い付けが成立した後からいろいろ交渉を始めて、小さな不備にかこつけて、値下げを要求することもありえます。

 

このような事態を避けて、確実に売却するために、まずは情報をきちんと収集する必要があるのです。そのため、「とりあえず、レインズに載せてみますね」といった対応をしている軽率な業者には注意です。

 

特に一棟物件を売却する場合は要注意です。区分マンションであれば、入居者は基本1人で、必要書類は1セットだけなので、トラブルが起こるケースは少ないですが、10室あれば必要書類も10倍、必要事項を見落とす確率も上がります。

 

また、売却依頼する業者は、そのエリアに強い業者のほうが良いのか、そういった質問を受けることがあります。不動産管理の領域では、業者とエリアの相性はとても重要ですが、売却に関していえば、基本的にはあまり関係ありません。それよりも収益物件の売買仲介を中心に行っている業者を選んでください。

 

私たちが投資家の物件をお預かりしたとき、「どこの不動産業者が、どういったお客さんを抱えているのか」を重要視します。「一社を信頼して全部任せたい、誠実にやってくれるところにお願いしたい」というときでも、前述のようなヒアリングをして、売ることに対して作戦を練る会社にお願いするべきです。

 

業者選びとは、会社の規模や、ブランドで行うのではなく、まずは囲い込みをしないことが重要な条件です。そして、しっかり地に足をつけて、必要なデータ、書類をきちんとコツコツ情報収集する会社でないといけません。

 

そのうえで、やはり収益物件の取り扱いに慣れている、高く売るやり方がわかっている会社に任せるべきでしょう。買いたい投資家を直接抱えている会社でなくとも、そういう会社を知っているのであれば大丈夫です。

 

その業者が、例えば金融機関にネットワークを持っていれば、そこから買い手が見つかる可能性もあります。

 

投資家が真似するのは現実的ではありませんから、不動産会社を経由して、金融機関に話を持っていくことも良いと思います。「こういう物件が売りに出されますが、御行が融資を出せるお客さんで欲しい方はいませんか」と聞くと意外と買い手が見つかることもあります。ですので、会社にたくさん従業員がいるかどうか、オフィスが良い場所にあるかどうかは関係ありません。

 

◆売却を成功させるために

 

「自分の中で売却の目的がはっきりしていない」。これは売却時のリスクとなります。売却の目的とは「ただ、早く売れてほしい、すぐにでも現金化したい」というパターンもあれば「とりあえず、いくらで売れるか様子を見る」というケースもあります。不動産投資を始めるときには、必ずゴールを設定するものです。同じように売却の目的もはっきり決めておきましょう。

 

そして、買うときにはある程度、「どのような出口をとるのか」を考えておきましょう。購入時に出口を検討することで、売却することができる物件を買うことができます。もちろん、買ってからも常に市況や、金融情勢は変わってきます。もしかしたら自分が会社を辞めることもあるかもしれません。そういったすべての出来事に対して、できる限り対応できるよう準備しておきます。

 

選択肢は無数にあるわけですから、それを選び取っていける情報を得ることが重要です。そのためにも売却を依頼する業者は、必ず複数の選択肢が提示できるプロでなければいけません。

株式会社カクセイ 代表取締役 宅地建物取引士・CPM®(米国公認不動産経営管理士)MPSA合格者

東京都出身。レーサムリサーチ(現社名レーサム)にて富裕層に対する収益不動産のコンサル営業に従事。他に買取再販事業の不動産会社での収益不動産仕入業務、人材コンサル会社での不動産.建設業界のヘッドハンティング業務を経験するなどして培った幅広い人脈を活かし、投資家の要望に応える投資提案を得意としている。

著者紹介

株式会社カクセイ マネージングディレクター・COO 宅地建物取引士・公認 動産コンサルティングマスター・相続対策専門士・CPM®

不動産コンサルティング会社でワンルームから一棟アパート・マンションの売買・管理業務を経験、2013年からは講師としても活動し、年間200名超の投資家と面談して得た体験をもとに不動産投資の失敗事例から学ぶセミナーを開催、本作に寄稿する。

著者紹介

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