来るべきインフレに備え、資産は「株式」「不動産」「金地金」といった「お金以外の資産」に分散することが重要です。本記事では、特に「金地金」に着目していきます。※本連載は、『大学教授が考えた「科学的投資法」 株は決算発表の直後に買いなさい!』(PHP研究所)より一部を抜粋・再編集したものです。

「金投資」ではなく「貯『金』」と心得よ

金地金は強い「インフレ対抗力」を発揮してくれます。定期預金のような通常の「貯金」では、インフレ時代には、実質的な価値は目減りしてしまいます。これまでにも述べてきましたが、万が一、国家財政が破綻しそうになったら、定期預金の実質的な価値は目減りどころか、壊滅するでしょう。実質的価値は10分の1どころか、100分の1以下になってしまうかもしれません。たとえば1,800万円の貯金があっても、貯金のままでは、国家財政破綻のXデーが来た後の実質的価値は10万円か20万円くらいのものになってしまうのです。

 

一方、同じく1,800万円くらいの財産を「貯『金』」で保有しておけば(つまり、金地金3キログラムにしておけば)、Xデーが来た後も実質的な価値は維持・保存されます。ですから、今からコツコツ金地金を買い集めておけば、Xデーが来た後も、3~4年は暮らしていく財産を確保できます。かなりの国難になっても、3~4年しのいでいければ、その後の態勢を整えることができます。国家財政が本格的にヤバくなってからでは、金地金は買えなくなるでしょう。猛烈に高くなってしまうか、国家の統制が入って、購入禁止になるでしょう。ですから、今からコツコツと買っておくのです。

 

ちなみに、「株」も強い「インフレ対抗力」があります(「不動産」も同様です)。Xデーが来たら、株価は一旦は大きく下がるでしょうけれども、その直後から、インフレに呼応するように、暴騰を演じるはずです。

 

ですから、財産は、「金地金」と「株式」と「不動産」にしておくのがいいのです。外貨もいいのですが、ドルはイマイチ不安ですし、他にどの国の通貨がいいのかもわかりません。「金地金」は「通貨の起源的なもの」であり、「国際的に認められた最強の通貨」ですので、やはり「金地金」を保有しておくのがいいでしょう。

 

「お金」というのは、紙幣や硬貨のことではなく、そもそもは「金地金」のことだと思っておくのが本質的に正しい理解なのです。実は、「金地金」こそが、絶対的価値のある「お金」の根源的価値のあるものであって、紙幣や硬貨は、「価値の交換手段に過ぎない」というのが正しい理解といえるのです。

 

さてここで、強調しておきたい大事なことがひとつあります。それは、ここで金地金の買い集めをオススメしたのは、いわゆる「金投資」ではなく、「貯『金』」だということです。すなわち、「価格が上がることを期待して買っておくという投資」ではなく、身を守るための「貯『金』」だということなのです。ですから、多少の価格の上下は無視します。

 

今は1グラム6,000円強(消費税込み)くらいですが、それが3,000円に下がろうが、9,000円に上がろうが、絶対に売らずに持っておくのです。上がったら売って儲けようとか、下がったらどうしましょうとか、そういうこととは一切無縁です。

 

この「貯『金』」の本質は、「ハイパーインフレ保険」ということにあるのです。価格の上下は関係なく、ただひたすら、有事の際に「1キログラムで概ね1年分の食費・生活費に充当できるもの」を確保しておくということだけが狙いです。

 

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