来るべきインフレに備え、資産は「株式」「不動産」「金地金」といった「お金以外の資産」に分散することが重要です。本記事では、特に「金地金」に着目していきます。※本連載は、『大学教授が考えた「科学的投資法」 株は決算発表の直後に買いなさい!』(PHP研究所)より一部を抜粋・再編集したものです。

金地金はなぜ「300gずつ」買うべきなのか?

財源は、定期預金でもいいですし、株の売却益でも構いません。また、株の配当も格好の財源です。夏と冬にボーナスが支給される方は、それも有力な財源です。次回のボーナス時期以降、ボーナスと株の配当を財源にして、半年に一度ずつ金地金を買っていくのです。私はボーナスと株の配当を財源にして半年に一度以上金地金を買っています。

 

1回に買う金地金は300グラムが適切です。昨今(2020年1月24日現在)の購入時価で換算しますと、約182万円です。1回に買う量は、あまり少なくても財産性がないですし、あまりたくさんはなかなか買えないでしょう。そこで、1回に300グラム(約182万円)を理想とします。ボーナスと株の配当(あとは、定期預金と株の売却益)をかき集めて、夏と冬に金地金300グラムを買い集めていきます。

 

すると、1年で600グラム、5年で3キログラムになります。3キログラムになれば、今の時価で換算すると、約1,820万円になりますから、これだけでも一家で3~4年は暮らしていけます。これで、有事に備えるのです。

 

なお、1回の購入が300グラムですと、追加の手数料が16,500円かかりますが、売るときに小分けにして売れるので課税上とても有利です。1年に1回の売却であれば、現行税法では売却益のうち50万円以下の部分は非課税になります。すると、たとえば1キログラムのインゴット(金塊)を買っていた場合で売却益が150万円あったとすると、100万円(150万円-50万円)が課税対象になります。各人の適用税率にもよりますが、概ね20万円~30万円(最大55万円)の税金がかかります。一方、300グラムであれば売却益は45万円ですから非課税の範囲に収まります。ですから、300グラムずつ3年にわけて売却すれば税金はゼロですみます。こういったメリットを勘案すれば、購入時の16,500円は簡単に元が取れます。

 

また、金地金を贈与することを考えた場合には、1回に買う金地金は200グラムにしておくのがいいでしょう。現行の贈与税法では1年間に受贈者1人当たり110万円までは贈与税が非課税になりますので、200グラムなら2020年1月24日現在の時価で換算しますと120万円とちょっとですから、課税額は1万円とちょっとですみます。200グラムずつ買っておけば、相続税や贈与税の対策になります(相続税には「生前贈与加算」というややこしい問題がありますが、ここではそれは度外視しました)。

 

なお、金地金を200グラムで買う場合も手数料が16,500円かかりますが、贈与税が軽課税になるメリットを考えますと、やはりこのくらいの手数料を支払うのは有効です。

 

税金対策のことを考えても、また、手軽さの意味からも、金地金は200グラムか300グラムといった小さな単位で買っておくのがよいというわけです。

 

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