来るべきインフレに備え、資産は「株式」「不動産」「金地金」といった「お金以外の資産」に分散することが重要です。本記事では、特に「金地金」に着目していきます。※本連載は、『大学教授が考えた「科学的投資法」 株は決算発表の直後に買いなさい!』(PHP研究所)より一部を抜粋・再編集したものです。

金地金は「お守り」…有事のときに効果抜群

金地金は「お守り」なのです。平時には、売るとか、損得とかは関係ありません。あなたは、伊勢神宮や京都の八坂神社で買ってきた「効果が抜群のお守り」を、価値が買い値より多少上がったからといって、売りますか? 売らないですよね。

 

また、「お守り」がいらなくなったときが来たとして、そして、そのときに売ったらいくらか損をしたとして、そのことで、「お守り」を買ったことを後悔しますか? 「お守り」がいらなくなったときが来たこと自体のほうが、よっぽど幸福なのだと考えれば、売り値が多少安くても、メデタシ、メデタシではないでしょうか。

 

金地金という「お守り」を持っておけば、有事のときに効果抜群です。そして、それとは対照的に、もしも国家財政破綻の懸念が杞憂に終わり、平和な日本がずっと続いてくれれば、「お守り」の価格は、あまり上がらないか、いくらか下がるかもしれません。でも、そうなることが一番の幸福ではないですか。地獄のハイパーインフレが来なかったのだから、金の価格がいくらか下がっても、たいしたことではないはずです。

 

そして、自分が65歳を超える頃までにハイパーインフレもなく、今と変わらない平和な日本だったら、その頃から1年に3つ(900グラム)ずつ換金して、その年の「食費・生活費の足し」にすればいいのです。それこそまさに、「年『金』」です。

保険にも年金積立にもなる「金地金」

金地金を買い集めておくことは、「ハイパーインフレ保険」になるうえに、有事がなければ、「年金積立」にもなるのです。

 

資産分散の一環としても、財産の一部を金地金で持っておくことは、非常に有効です。現金や預金は生活に必要な最小限の金額に抑えてしまえばいいと思います。そして、金融資産のうちの10%~20%は金地金で持っておくといいでしょう。今からでも、まだ間に合います(間に合ってくれなければ困りますよね)。

 

「(国家財政が)転んだ先の杖!?」は、ないよりは、あったほうがいいのです。

 

なお、金地金の保管は、銀行の貸金庫でもいいのですが、もしも預金封鎖になった場合に、封鎖されてしまうかもしれません(有事のときに、そのあたりがどうなるのかということは、正確にはわかりかねます)。ですから、各自、自己責任で自宅の金庫等に保管しておくということになります。なお、金庫は埋め込み式のものでないと、泥棒に入られたときに金庫ごと持っていかれてしまいます。

 

最後に、金地金の購入方法ですが、「田中貴金属」で購入されることをオススメします。「田中貴金属」以外にも、大手銀行などでも買うことはできますが、信頼性の意味で、「田中貴金属」が一番だと思います。200グラムか300グラムを買うのであれば、代金の現金以外には何も必要ありません。代金を持って、ただお店に行って買うだけです。「田中貴金属」は全国各地に販売店舗があります。

 

最後に、「未来永劫、日本が国家財政破綻にはならない」ということを心から祈っています。ここに書いた「貯『金』」計画が効果を発揮せず、多少は目減りしてもいいので、無事、「年『金』」として換金できるようになることを祈っています。

 

 

榊原 正幸

青山学院大学大学院 国際マネジメント研究科教授

 

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