会計学の教授が「フェラーリ購入」でインフレ対策する理由

来るべきインフレに備え、資産防衛のために分散投資が必要です。選択肢の一つとして「外貨建ての資産」保有がおすすめです。わかりやすくいうなら、趣味のもので、外国製や海外での評価のあるもののこと。筆者は高級外国車を対策に活用しています。本記事は、『大学教授が考えた「科学的投資法」 株は決算発表の直後に買いなさい!』(PHP研究所)より一部を抜粋・再編集したものです。

「外貨建ての資産」を持っておくとよい

前回の記事『「金」を買うなら「300グラムずつ」にすべき明確な理由』で述べたように、財産は、「金地金」と「株式」と「不動産」にしておくのがいいのですが、それ以外にも「外貨建ての資産」を持っておくとよいと思います。「外貨建ての資産」というと縁遠い響きがあるかもしれませんが、「趣味のもので、外国製のものや海外での評価のあるもの」と考えると身近になります。

 

たとえば、車・絵画・ワインなどです。私はお酒が飲めないのでワインに関する知識が全くありません。でも、車は大好きです。とくにフェラーリが大好きで、30年ほど前からずっと乗り継いできました。今は、もうだいぶ歳をとったのでフェラーリを卒業しましたが、昨年の9月までは12代目として最新型の「488スパイダー」を持っていました。そこで、車を例にして解説します。

 

車の場合は、所詮は減価償却資産ですから、基本的には時の経過と使用によって減価(価値が下落)します。しかし、外国製の、しかも資産価値のある車に乗っておけば、インフレ時には一定のインフレ対抗力をもちますし、円安に対して抵抗力があります(もちろん、車両保険には入っておかなければなりません)。

 

以下で、具体的な数値例を紹介します。

 

私が2013年2月から2016年6月までの3年4ヵ月の間持っていた458イタリアを例にとります。最近では、ドル円レートに関して、この時期に大きく円安が進んだからです。この車は、2013年2月に2,840万円で購入しました。購入時は1年落ちの中古車で走行距離は7,880kmでした。新車時の価格は4,000万円するものを、中古車なので3割ほど安く買うことができたのです。

 

さて、この458イタリアですが、購入して3年4ヵ月が経過し、走行距離が11,630kmになった時点で売却しました。これまでの(30年来の)経験から考えれば、通常この458イタリアの売却価格は1,650万円くらいになるはずです。購入してから3年4ヵ月が経過していて、走行距離も10,000kmをゆうに超えていますから、そうなるとフェラーリの場合は購入してから1,200万円くらい価格が下落するのが普通です。

 

ところが売却価格は、2,450万円でした。なぜ売却価格が1,650万円ではなく2,450万円で、400万円程度の値崩れですんだのでしょうか。まず、為替レートを検証してみます。このフェラーリを購入する契約をした2013年1月の時点でのユーロ円相場は1ユーロ=113円~124円でした。間をとって1ユーロ=119円とします。売却した2016年6月の時点では1ユーロ=109円~123円でした。間をとって1ユーロ=116円としますと、若干円高に触れていますが、3円だけですので誤差程度です。

 

これだと、為替では説明がつきませんね。となると、値崩れ額が3分の1ですんでしまった原因は「資産インフレ効果」です。フェラーリという趣味の外貨建て資産が、資産インフレによって、価格が高止まりしたのです。世界的には、この時期には資産インフレがかなり進んでいたのです。日本だけですよ、いつまでもデフレマインドから脱却できていないのは。

 

政府はたとえば2014年のインフレ率を「0%」と発表しましたが、これはあくまでも「物価上昇率」の「大本営発表」でしかありません。

 

アベノミクス開始以降の7年の間に、資産インフレははっきりと進行しています。日経平均株価は約3倍になりましたし、都心の地価も上がっています。ですから、その間にフェラーリもインフレ(価格上昇)して2,450万円で売れたというわけです。株価や地価に比べればインフレ率は低いほうだと思います。

 

そうはいっても、400万円は値崩れしているのですから、儲かったわけではありませんが、最新鋭のフェラーリを3年4ヵ月も所有していて、値崩れが400万円ですむのは1980年代末のバブルの時以来30年ぶりのことです。

 

フェラーリでインフレ対策
フェラーリでインフレ対策

強いインフレが現実になったら、フェラーリの価格は…

近い将来、強いインフレが現実のものになったら、このフェラーリの価格はどうなるでしょうか。強いインフレになっているということは、為替も大きく円安になっているはずですから、売却可能価格は3,000万円とか4,000万円になってしまう可能性を否定はできません。こうなると、趣味の道楽をしていただけなのに何年か後に売ったら儲かってしまうということになるのです。ひとえに「外貨建て資産のインフレ対抗力」のおかげです。

 

ですから私は今は、フェラーリは手放しましたが、BMWを2台持ち続けています(時価は2台合計で1,500万円くらいです)。BMWはフェラーリよりは値崩れが激しいですが、それでも国産車よりはインフレ対抗力があります。ただし、車ですから、いくらか目減りするのは当たり前ですが、外国車であればインフレ対抗力のある外貨建て資産ですから、借金をしてでも持っておいたほうがよいと考えています。上に例示した458イタリアも2,000万円のローンを組んで買いましたし、次の488スパイダーも1,700万円のローンを組んで買いました。

 

さらにいえば、車はどうしても減価償却しますが、絵画であれば償却はしません。相場や人気というものがありますから価格はブレるでしょうが、絵画には減価償却はないので、きちんとした目利きであればよいものを買って、飾ってずっと愛でているうちにインフレになったら、資産価値が保全されるのです。絵画はデパートで買うのではなく、信頼できる画商から安く買う必要があります。デパートの価格は相場の最高値ですから。

 

そして、資産価値が保全されるものであればできるだけ高いものを買っておいたほうが効果的です。もちろん、無理をしすぎて破綻してはどうしようもないので、「無理のない範囲で」ということは重要ですが、その範囲の中では目一杯趣味を謳歌してしまっていいと思います。このように、趣味のものでも本当によいもので国際的な相場のあるものであれば、楽しみながらインフレに対抗できるのです。

 

 

榊原 正幸

青山学院大学大学院 国際マネジメント研究科教授

青山学院大学大学院 国際マネジメント研究科教授

専攻は会計学。1961年、名古屋市に生まれる。1984年、名古屋大学経済学部卒業。1990年、名古屋大学大学院経済学研究科博士課程修了。1997年、東北大学助教授。2001年、レディング大学よりPhDを授与される。2003年、東北大学大学院教授を経て、2004年から現職。

著者紹介

連載会計学の教授が伝授する「これからの日本」の歩き方

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