物件の周辺環境の変化、急な修繕、家賃滞納など数々のリスクが潜む不動産投資。資産形成の手段として注目が集まっているものの、事前にリアルな失敗パターンを知ることは必要不可欠です。そこで本記事では、多くの個人投資家にコンサルティングを行い、不動産投資の方法を提案する、株式会社カクセイの平山智浩氏・渡辺章好氏の共著『失敗例から学ぶ 儲かる不動産投資の極意』(幻冬舎MC)より一部を抜粋し、不動産投資の失敗例を紹介します。

大手だからといってニーズを理解しているとは限らない

【大手の会社に依頼しても空室が埋まらない】

大田区の某私鉄駅から徒歩圏に新築アパートを購入したのですが、竣工後3カ月経っても空室が埋まらず、内見すら入らない状態で困っています。財閥系大手の管理会社に任せていますが、まったくレスポンスがありません。募集家賃は6万3000円で、物件の間取りは13平米と狭いものの、都内新築物件としては適正の範囲内だと思います。

 

管理会社とのミスマッチで…
管理会社とのミスマッチで…

 

◆物件と管理会社がミスマッチを起こしている

 

オーナーの最大の悩みは「空室が続くこと」です。空室が埋まらない限り、想定していた家賃収入も絵に書いた餅となります。

 

ひと口に空室といっても、その原因をひもとくと、単純な努力不足なのか、オーナーさんの知識がないのか、管理会社にやる気がないのか、賃貸ニーズがないのかと、さまざまな原因が複合しています。

 

原因が管理会社そのものにあるのなら問題点が可視化できますが、難しいのは、一見きちんとした管理会社を選んでいるにもかかわらず、空室が埋まらない場合です。この場合、「物件と管理会社がミスマッチを起こしている」可能性が考えられます。

 

今回のアパートはいわゆる狭小物件で、どちらかというと属性の高くない人たちをメインターゲットとしている物件です。大田区に多い中小企業に勤めている人や、フリーターの入居が圧倒的に多いのです。

 

しかし、物件を管理していた大手管理会社は属性の低い人に対する審査基準やノウハウを持っていませんでした。その会社が管理している他の物件を見るとよくわかります。募集物件の多くが、自社で販売した一等地に建つ分譲マンションであり、物件購入者からの「転勤で住めなくなったので貸し出したい」といったニーズに対応するため管理業務を受けるケースが多いのです。つまり、この物件のメインターゲットとはかけはなれた高級賃貸物件をメインとしている管理会社だったのです。

 

たまたまそのオーナーさんは、以前に別の物件のマンション管理をお願いしたことから、今回の新築アパートもそのまま管理をお願いしたとのことでした。管理会社側も、これまでのお付き合いもあるので断らずに受けたのでしょう。こうした経緯から、物件が持つニーズと管理会社の得意分野がミスマッチを起こし、空室期間が長引いていたのです。これはオーナーさんにも管理会社にも双方にとって不幸なケースと言えます。

 

その他の失敗例でいえば、駅前の一等地に路面店が多数あるような大手不動産チェーンを管理会社にしたケースがあります。オーナーからしたら、大手で店舗数も多く安心感があるのですが、なかなか入居が決まりません。

 

その理由は多くの大手不動産チェーンでは、自社で物件情報の囲い込みをしているケースがあるからです。レインズにも出さないし、スーモやホームズといった不動産ポータルサイトにも情報を出しません。物件にもよりますが、基本的には自社のホームページだけに掲載して、そこで集めるお客さんしか付けてくれません。

 

大手では自社が管理する物件やサブリース物件が最優先されます。課せられた数字に対するプレッシャーも強いので、これは仕方ない面もあります。

管理の方法は会社ごとに様々…見極める目が大事

◆空室を埋める「合理的」なテクニック

 

やはり今の時代、能力の優れた管理会社の定義は「空室をどれだけ埋められるか、きちんと入居付けができるか」、そのために「物件の特性から賃借人となるターゲット層を絞り込み、集客のための施策を打てるか」という点になります。オーナーに対してきちんとした合理的な説明や提案をしてくれるのが優秀な管理会社といえます。

 

「熱意に押されて管理を任せてみたところ、たしかに管理はしてくれるけど、空室を埋めてくれない」と嘆くオーナーさんは少なくないです。提案といえば家賃の値下げや、お金のかかるリフォームばかり。オーナーのコスト負担で物件の収益力を改善させるのは、あくまでも最終手段です。まずは募集に対してきちんと「合理的な提案」ができる業者と付き合うべきです。

 

首都圏には賃貸仲介専門でやっている不動産業者があります。彼らの強みは「管理は一切しないし、売買も一切しない」、その代わりに賃貸仲介業務だけに特化した組織づくりをしている点です。人材教育も仲介に絞って行いますし、会社の制度や仕組みが、そうつくり込んであります。ホームページや宣伝広告にも大きな予算をかけています。

 

彼らは手間を惜しまず、自社のホームページや不動産情報のポータルサイトにマメに募集を出しています。たとえ他社と同じ物件を掲載するにしても、自社に来てもらえるようなキャッチコピーを考えたり、物件写真を自分たちで撮り直したり、更新日付を工夫して上にくるようにしたりしています。

 

また、オプション料金を払えば検索結果画面で上位表示させることできるので、ポータルサイトにお金を払うことで、自社に入居者を取り囲めるようにしています。

 

ですから、私たちがスーモに物件掲載して「客付けを頑張っています」とオーナーにアピールするより、そこは営業力に優れた業者さんにお任せして、その会社のネームバリューで客付けしてもらったほうが、結果的に入居者さんが早く見つかります。街の客付け業者さんと正面から張り合うよりは、良い関係を持つべきです。

 

先ほどの、大田区の新築アパートの空室が埋まらなかったのは、管理会社が仲介会社に合わせるという発想がないことも原因です。

 

◆管理会社の正しい選び方

 

賃貸管理業務というのは手間こそかかりますが、業務内容そのものは難しいものではありません。では、そんな管理業務をどの会社に任せるのか、管理会社選びで大事なのは「その会社が良い管理会社かどうか」という点です。客観的に判断する材料としては、次のようなものが参考になります。

 

●管理のエリア・・・地元に注力しているか。無理に範囲を広げていないか

●管理サービス・・・低価格だけを売りにしていないか

●管理物件の内容、委託したい物件と同じようなグレードの物件の管理実績があるか

●オーナーの課題を積極的にヒアリングし、柔軟な提案をしてくれるか

●管理業務委託契約の条文を確認し、解約ペナルティが重くないか、オーナーに一方的に不利な内容がないか

 

賃貸経営の成功には、優秀なパートナー選びが重要です。オーナーさんの判断の物差しはどうしても値段になりがちです。たしかに値段も大事ですが、それ以上に、

 

① 管理の内容が、管理会社にとっても効率的かどうか

② 提案内容に納得できるかどうか

③ 自分がどれだけ動かなくて済むか

 

この3点が大切です。

 

ひと口に不動産オーナーといっても、さまざまなタイプがあります。自分で徹底して管理したい人は、「人に任せることがストレスに感じる」から自分でやるのが合理的なのです。「自分の物件が気になって仕方ない」という人が足繁く物件に通ったり、「自分でいろいろやりたい」という人が自主管理でDIYをするのもいいでしょう。反対に入居者からの細かなクレーム対応をストレスと感じるなら、管理会社を入れるべきでしょう。

 

物件管理を任せるにあたり、管理会社の実力を見極めるのは、簡単なことではありません。実際にあった例ですが、管理戸数を実際より多く見せて、規模をアピールしたり、管理サービスの優秀さを謳うものの、任せてみれば実態はまったく違っていたり、現場の担当者によって対応が大きく異なるなど、受託営業にのみ力を入れている業者もあります。先ほどのポイントを参考にして、不安なことが一つでもあれば、やめておいてもいいかもしれません。

失敗例から学ぶ 儲かる不動産投資の極意

失敗例から学ぶ 儲かる不動産投資の極意

平山 智浩・渡辺 章好

幻冬舎メディアコンサルティング

物件の周辺環境の変化、急な修繕、家賃滞納など数々のリスクが潜む不動産投資において、事前にそのリアルな失敗パターンを知ることが不可欠です。多くの個人投資家にコンサルティングを行い、それぞれに合った不動産投資の方法…

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