ナゼ?家賃滞納に困っても「泣き寝入りしたほうがマシ」の謎

物件の周辺環境の変化、急な修繕、家賃滞納など数々のリスクが潜む不動産投資。資産形成の手段として注目が集まっているものの、事前にリアルな失敗パターンを知ることは必要不可欠です。そこで本記事では、多くの個人投資家にコンサルティングを行い、不動産投資の方法を提案する、株式会社カクセイの平山智浩氏・渡辺章好氏の共著『失敗例から学ぶ 儲かる不動産投資の極意』(幻冬舎MC)より一部を抜粋し、不動産投資の失敗例を紹介します。

損害を出されるよりは「空室のほうがマシ」という事実

【問題化していない家賃滞納・不良入居者】

中古物件のオーナーチェンジで、毎月決められた家賃の支払日より少しずつ遅れて振り込みをする入居者がいます。遅れても1カ月程度なのですが、支払いにルーズな入居者が複数人います。また、騒音のクレームやゴミの出し方など、全体的にマナーが悪いように感じます。失敗とは言えないかもしれませんが、近隣からクレームも入っているようで、なんとか解決したいです。

 

◆家賃滞納より空室のほうがいい!?

 

毎月、月末までに支払う約束になっている家賃を、翌月になってから支払う入居者がいます。1カ月にも満たない遅れですが、家賃遅延の理由は、給料の支給日と家賃の支払いサイクルが合っていないことです。それならば1カ月早く支払えばいいのに、毎月少しずつ遅れて支払うケースも多くあります。

 

また振り込みが面倒だからと、2〜3カ月分家賃をまとめて支払う入居者もいます。これも早めに賃料をいただいているときもあれば、気づくと前払い分の家賃が終わっていて、知らないうちに滞納していることもあります。

 

多少遅れていても家賃が入っているということで、問題視しないオーナーもいますが、「契約に決められた日までに家賃を支払う」ということをしていないのは事実です。そこまで厳しくしなくてもよいかもしれませんが、できればルールに沿って支払ってもらうのがベターです。状況によっては不定期の支払いから、家賃滞納があることに気がつかない……というケースもあります。

 

家賃滞納が起こった場合にどうすればいいのでしょうか。一般のオーナーさんが、いきなりそのようなトラブルに巻き込まれたケースでは、手数料を支払って弁護士さんに書面を作成してもらうことが多いです。

 

とはいえ、いくら弁護士さんでも、ある程度の既成事実がなければ訴えられません。おおよそ3〜6カ月の家賃滞納で訴訟手続きに入ります。また、もしも家賃価格が3万円といったアパートであれば、そこで争っても費用対効果が悪いです。

 

少額訴訟※は60万円以下が対象となりますが、それがもし家賃3万円の部屋の半年の滞納であれば、四苦八苦して手続きを行うよりも、泣き寝入りしてしまったほうが良いといわれることもあります。

 

※少額訴訟・・・少額訴訟は60万円以下の金銭の支払いを求める訴えについて、簡易裁判所で原則として1回の審理を終えて、即日判決を言い渡す民事訴訟。例えば入居者が月額6万円の家賃を6カ月分滞納している場合、不動産オーナーは36万円の滞納家賃を請求する少額訴訟の訴えを起こすことができる。

 

家賃滞納する人は全員が全員そうとは言えませんが、モラルに欠けた人も多く、こちらが疲弊するばかりであまりいいことがないからです。一方的に被害にあうばかりではありますが、損害を取り戻すよりは、一刻も早く退去してもらい、優良な入居者に入ってもらったほうがいいという話になります。

 

それゆえに滞納されるよりも、まだ空室のほうが良いのです。滞納されたうえに居座られたり、荷物を残される、虫がわくようなゴミ部屋にでもされたら、それを解決するだけでも大変です。問題入居者に居座られるくらいであれば、いっそ空室のほうが対処のしようがあります。

 

入居条件など柔軟に対応する投資家に比べて、地主大家さんは融通が利かないことも多いです。中には、昔ながらの大家さん然として、入居者を上から見下ろす態度を取るような方もいらっしゃいますが、それは大家さんの立場が強かった昔を忘れられないからではなく、これまでの経験値で、「あまり入居者に甘い顔すると損をする!」と思い込んでいる節もあります。

 

不自然に感じる入居希望者に高飛車な態度で接することにより、不良入居者をシャットアウトしている背景があります。

 

たしかに、すべてにおいて温厚な態度で接していてはいけない場合もあります。特に不良入居者に対しては初動が重要で、厳しい態度でしっかりと接しないとなめられてしまいます。

 

また、相手に事情を聞くことで解決すること、トラブルを未然に防ぐことができます。体調を崩して家賃が支払えないのであれば、親御さんに相談するようアドバイスする、場合によっては行政に相談して、なんらかの補助を受けることができるかもしれません。家賃の価格帯が合わなくなれば、管理会社に相談して、より安い家賃の部屋を提案することもできるでしょう。

 

損害を取り戻すよりは、一刻も早く退去してもらうほうがいい
損害を取り戻すよりは、一刻も早く退去してもらうほうがいい

保証会社との関係性が賃貸経営を今後を左右する

◆保証会社が行う審査の実態

 

リーマンショック以前は審査基準の甘すぎる保証会社もありました。案の定リーマンショックで会社が倒産してしまいました。倒産後は結局、無保証になった人たちが部屋に残り、滞納が発生して大変だったそうです。

 

最近はそういう業者も少なくなりました。私たちの会社でも、管理業務を請け負っていますが、常に新規の保証会社を開拓しながら、既存の業者ともうまく関係性を保っています。中には保証会社の審査が緩いと感じる会社もありますが、大手の保証会社しか取引しない業者もあります。その会社の審査で落とされてしまう属性の人が、その物件のメインターゲット層で申し込みは入るにもかかわらず、審査が通らないという理由で、空室ロスが発生してしまいます。

 

最近は保証会社が増えています。基準が厳しい大手の会社もあれば、非正規社員でも審査が通る保証会社もあります。保証会社の審査のやり方もさまざまです。一般的に信用情報は、カード系、銀行系、信販系の3種類がありますが、基本的に部屋を借りるときはカードだけクリアしていれば問題ありません。

 

このように単純にカード事故がないかで見るところもあれば、人によって年齢と職業で、「安定している、安定してない」と判断するところもあります。

 

ほかには、滞納入居者を退去させるのが得意という会社もあります。最近は、消費者金融がどんどん縮小して銀行に吸収合併にされているので、今まで消費者金融で頑張ってきた督促部隊の人たちが、保証会社に引き抜かれているのです。ある会社では「うちは督促部隊をすごく強化していますよ」と豪語していました。

 

最近は、外国人専門の保証会社も出てきました。多言語を喋れるスタッフを用意しています。外国人は、最後は母国に帰ってしまうのがリスクなのですが、その国まで滞納家賃を取りに行くそうです。海外拠点もあるので、取りっぱぐれをなくす体制を敷いているそうです。

 

審査のやり方にはいろいろありますが、本来は3段階で審査を行うべきです。保証会社の審査、不動産会社の審査、オーナーの審査です。

 

オーナーの審査とは、字が綺麗かどうか、契約書の保証人のところは筆跡が違うか確かめるとか、そういうところがきちんとしているかです。例えば、住所で「15丁目」と書いてあったら桁がちょっとおかしいのではないか、いい加減なことを書く人じゃないかと推定し、管理会社に対し住所が正しいかどうかの確認の依頼をします。

 

本人は嘘をついたり、騙すつもりはなく、性分としてルーズな人だったりしますが、やはりモラルが低い人である可能性が高いです。あとは転居の理由に整合性があるかも確認します。例えば小売業に勤めている人が、AショッピングモールからB駅ビルに転勤のため引っ越してきたのであれば、転居の理由に整合性があります。理由がきちんとしている人は年収が高くなくても、きちんとした人が多いです。

 

中には保証会社の審査制度を悪用するケースもあります。保証会社も書面を定型化しているため、多少おかしなところがあっても、書類が揃っていれば通してしまうのです。

 

そこで、いい加減な客付け業者だと体裁を無理矢理整えた書類を用意することがあります。要は、「虚偽の内容でもいいから申込書さえ埋めてしまえば通る」という考え方です。ずさんなケースでは、書かれている勤め先が存在しない場合も普通にあります。

 

いつの時代も抜け道を見つける人がいるもので、違法業者が最たる例です。ひどいケースになれば不動産業者がアリバイ会社と提携していて、入居希望者を「コピー機器販売の営業」とかに仕立てあげることもあります。

 

今までは不動産会社が審査して、嘘をつかれる立場だったのが、今度は保証会社にどう嘘をつくかを考えているのです。

 

具体的にはワンルームを一つ借り上げてそこに電話を何本もひいて、それぞれにA社、B社、C社、D社というように振り分けて、電話が鳴れば「はい、何々会社です」と対応するようになっています。

 

このように保証会社を騙すダミー会社によって定職についていないフリーター、風俗関係の水商売のような、部屋を借りたくても借りられない人が部屋を借りている現実があります。

 

保証会社が見るのはあくまで支払い能力や信用だけなので、犯罪履歴まではチェックしません。オーナーさんのためにも管理会社が犯罪履歴も調べるべきですが、それをやっている会社はまだ少ないです。

 

管理会社側としては、トラブルを避けるため「日経テレコン」のサービスを使って、過去に新聞に載った事件や犯罪記事を調べるようにしています。入居者の名前で検索すれば、過去に事件を起こしたかどうかがある程度わかります。まれに傷害事件や窃盗事件を起こしている人もいます。もちろん、きちんと反省している方もいますが、一般的に再犯率は高いものです。

 

◆問題のある物件でも審査は厳しく

 

問題がある物件を抱えているオーナーは、空室に困っていて「喉から手が出るほど賃料は欲しい」「なんとか入居者に入ってもらいたい」一心で、ついつい入居のハードルが緩くなりがちです。そういう物件ほど、「普通では住めない人」を入れられるケースが多いのです。

 

入居の基準をきちんと持っていないで「まあいいや」と入れてしまった入居者が、後で事件を起こすこともあります。そういう物件の評判は広まるもので「あそこは誰でも入れてくれるらしい」とか、「あそこの管理会社の審査はザルだ」と知れ渡ると、ますます問題のある入居者を連れてこられます。

 

池袋から近い立地で投資家が購入を検討しているアパートがありました。そのアパートの一室が風俗店の営業電話を置く目的で借りられていることが判明しました。部屋には電話機とパソコンが置いてあるだけで、人の出入りはほとんどありません。

 

しっぽをつかまれないために、電話の中継点にだけ利用して、別の所で実際の風俗店を運営しているか、派遣しているようです。犯罪ではありませんが、グレーな使い方です。結局、購入は見合わせました。もしも借り手が反社会勢力だったら深刻です。銀行が知れば、我々も加担していると思われかねません。物件が相場よりも安いのは、そういう理由があるのです。

株式会社カクセイ 代表取締役 宅地建物取引士・CPM®(米国公認不動産経営管理士)MPSA合格者

東京都出身。レーサムリサーチ(現社名レーサム)にて富裕層に対する収益不動産のコンサル営業に従事。他に買取再販事業の不動産会社での収益不動産仕入業務、人材コンサル会社での不動産.建設業界のヘッドハンティング業務を経験するなどして培った幅広い人脈を活かし、投資家の要望に応える投資提案を得意としている。

著者紹介

株式会社カクセイ マネージングディレクター・COO 宅地建物取引士・公認 動産コンサルティングマスター・相続対策専門士・CPM®

不動産コンサルティング会社でワンルームから一棟アパート・マンションの売買・管理業務を経験、2013年からは講師としても活動し、年間200名超の投資家と面談して得た体験をもとに不動産投資の失敗事例から学ぶセミナーを開催、本作に寄稿する。

著者紹介

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