賃貸経営では色々なコストがかかりますが、無駄なコストが経営を圧迫していることもあります。本記事では不投資家とエージェントを繋ぐマッチングサービス「Estate Luv」を運営する八木チエ氏が、賃貸経営におけるコスト削減のポイントを解説します。

賃貸経営における「固定費」と「変動費」

賃貸経営において収益を最大化するにはどうしたら良いのか? 不動産オーナーにとっての永遠のテーマと言えるでしょう。

 

良く議題に挙げられる「空室率の改善」や「家賃収入の向上」などももちろん重要な要素ですが、これらと同等に目を向けていきたいのが「コスト管理」です。なぜならば、コスト管理は賃貸経営の収益に直結してくるからです。

 

そもそも賃貸経営には、どのような費用がかかるでしょうか。見ていきましょう。賃貸経営コストは大きく「固定費」と「変動費」に分かれます。

 

(1)賃貸経営における主な固定費

①管理委託料

不動産会社に管理を委託する際に毎月発生する報酬です。不動産会社によっては、緊急対応時などに別途費用を請求する事もあるようです。

 

②ローン返済

不動産を購入する際にローンを組まれた方は、毎月のローン返済額も鑑みて収支を考えます。

 

③税金

不動産を所有すると、毎年税金もかかります。固定資産税は評価額によりますが、区分マンションだとだいたい7万~8万円くらいです。所得税・住民税は所得によって大きく金額が異なるため、自身の給与などの課税に不動産所得分課税額がプラスされるイメージになります。

 

④管理費・修繕積立費

分譲マンションの場合、管理組合に毎月定められた管理費等の支払いが必要となります。

 

(2)賃貸経営における主な変動費

①媒介報酬

入居者を付けた不動産仲介会社に支払う費用で、大体賃料の1ヵ月分が一般的です。

 

②設備修繕費用・内装工事費用

室内の設備が故障した際や入居者入替のタイミングでの内装工事費など、部屋の状態によっては高額な出費となる事もあります。

 

③各種点検費用

まっとうに賃貸経営をするうえでは法定点検などで費用が発生します。

 

上記ですべてではないですがこれらが主なコストになります。これらはなくす事はできない必要経費になります。見ての通り、賃貸経営においては固定費・変動費共に多くのコストがかかってしまいます。ただ、しっかりとした知識を持ち、物件の管理レベルを下げないようにコスト対策をする事で収益を最大化する事ができます。

 

賃貸経営はタダではできない
賃貸経営はタダではできない

管理委託、ローン返済…コスト削減のポイント

どのようなコストがかかるのか見てきましたが、それぞれのコスト対してどのように対策をしていけば良いのでしょうか?

 

管理委託料や修繕費をやみくもに削ると管理がずさんになり、空室率上がってしまったり、後々に重大なトラブルとなって返ってきたりします。

 

それでは、それぞれどのようにコスト対策をすれば良いのか説明していきます。

 

(1)管理委託料

管理委託料は不動産会社によって設定が異なるので、高いと思ったら管理会社の変更を検討しましょう。会社によって賃料の3〜8%くらいの料金幅がありますので安い業者を探してみると良いでしょう。

 

ただ注意したいのは、金額だけで決めてはいけない、ということです。安くても業務の内容が薄かったり、出張費など別名目で費用請求があったりなど、しっかり確認をしましょう。管理業務と委託料が見合っているのか見極めが必要です。

 

(2)ローン返済

物件購入をした際に不動産の斡旋を受けた金融機関でローンを組んだ方も多いでしょう。そういった場合、ローンの借り換えを行う事で利率が下がり毎月の返済金額を減らすことができる可能性があります。借り換えを推奨している金融機関も増えていますので検討してみると良いでしょう。

 

(3)税金関係

賃貸経営にかかるコストを経費として計上する事で、前述した所得税や住民税を極力抑える事ができます。

 

所得税・住民税・ローンの元金以外はほとんど経費計上が可能です。数字上、賃貸経営における収入は赤字という申告も可能です。赤字申告であれば税金もかなり抑える事ができます。最近増えてきたサラリーマン大家であれば、確定申告をすれば税金の還付が受けられます。

 

(4)修繕費用

入居者入替時の修繕費用は、場合によって高額な出費となります。こちらはなるべく抑えたい項目になります。ポイントは無駄な修繕費用を減らすという事です。

 

経年劣化による内装・外装工事は入居者募集や安全面からどうしても避けられないものですが、大事なのは本来不要な支払いや修繕となくす、という点です。賃貸契約が貸主に不利な内容となっていないか、共有部の清掃管理が普段から行き届いているか、などの確認をする事で無駄な出費を減らせます。

 

(5)点検費用

アパート1棟経営などをしていると「消防設備点検」が義務化されています。専門業者に点検を依頼する必要がありますが高額なうえ、業者によって費用の幅が大きくなっています。管理業者を通しての手配の場合はなるべく安い業者を探してもらうなど相談しましょう。

コスト削減を最優先しないことが大切

ここまで説明してきたコストの圧縮法により、対策前と対策後では費用の半分近くを削減できる事もあります。特に修繕費用や税金に関する部分が大きく影響します。他の項目についても工夫していくと良いでしょう。

 

また、繰り返しになりますが「とにかくコストを減らせば良いではない」という事を肝に銘じましょう。不動産経営は入居希望者あってこそ成り立つものです。オーナーにとって入居者=お客様です。コスト削減も考えながら入居者のニーズに応える必要があります。

 

内装工事や修繕費用を抑えたために満足な現状回復が行わず、入居者の質が低下するといった事態にならないよう必要経費は惜しまずかけましょう。

 

コスト削減と必要経費をケチることは別です。中長期的に収支を安定させるためにしっかりと必要なところには費用をかけ、無駄なコストを減らすようにしましょう。

 

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本連載は、株式会社エワルエージェントが運営するウェブサイト「Estate Luv(エステートラブ)」の記事を転載・再編集したものです。今回の転載記事はこちら

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