「老後2000万円問題」など、先行きの不安から注目が高まっている区分マンション投資。投資金額の高さから「いくら融資を受けられるかが気がかり」という人は多いのではないでしょうか。本記事では、グランヴァン株式会社で不動産を活用した資産形成の提案を行う戸張功士氏が、区分マンション投資に関する融資の現状を解説します。

「区分マンション投資ローン」は借りやすい?

2018年に問題化した二重契約などの金融機関の不祥事を受け、一棟投資物件の融資が非常に厳しくなりました。一棟物件に関しては、基本的に積算評価の高い物件にしか融資が出なくなり、また物件価格の1〜3割の頭金を条件にする金融機関も多くなりました。つまり、たとえ積算価格が高い物件に出合えたとしても、自己資金がないと買うことはできません。

 

そのなかで、今まで一棟投資物件の融資を行っていた金融機関は、一棟投資物件への融資を縮小して、区分マンション投資に対する融資を積極的に行うようになっています。もちろん融資の基準を満たすことが前提条件になりますが、現在、有利な条件で区分マンション投資の融資を受けられるタイミングといえるでしょう。

 

そのような状況のなかで、「いくらの融資を受けられるのか」、気になるところではないでしょうか。一般的には区分マンション投資の融資枠は、年収の7〜10倍前後が一つの目安になります。たとえば、年収500万円がある方は、大体3,500万〜5,000万円が融資枠と考えてください。

 

もちろん、これはあくまでも一般的な目安です。たとえば車のローンがあった場合には少し融資額が減る可能性があり、逆に金融資産を持っていれば融資額が増える可能性も十分に考えられます。

 

では、区分マンション投資ローンの金利は、どのような状況でしょうか。数年前までは3〜4%と非常に高かったのですが、マイナス金利実施により、今は史上最低といわれているほど金利は低い状況です。もちろん金融機関によって多少の差はありますが、属性によっては1%台から受けられる金融機関もあるのです。

金融機関は「融資審査」で何を見ているのか?

金融機関の融資の審査では、どのような基準を設けているのでしょうか。大きくは「収入」「勤務先」「金融資産」「借入状況」「家族構成」と5つの項目を設けていることが多いようです。

 

まずは見られるのが返済能力の「収入」です。前出の通り、融資枠は年収の7〜10倍を目安にしています。年収は高ければ高いほど良いです。とはいえ、ベンチャー企業で勤続年数3年の700万円の方よりも、上場企業で勤続年数10年、年収500万円の方のほうが、金融機関は好みます。大手企業に長く働いている方の方が収入は安定し、返済が滞るリスクは少ないと金融機関が判断するからです。

 

次に見られるのが「勤務先」です。金融機関は上場企業勤務、医者、弁護士などを好みます。その理由はわかりやすく、収入が安定するからです。金融機関は会社のホームページや、帝国データバンクなどのリサーチ会社から勤務先の情報を収集します。会社情報をきちんと得られない場合、勤務先の事業説明、決算書の提出を要求される場合もあります。

 

「金融資産」も必ず調べています。まったく金融資産がない人よりは、ある程度の金融資産を持っている方を好みます。もちろん、その資産は多ければ多い方がいいです。金融機関は「負債」と「資産」のバランスを見て審査しています。

 

また融資を受ける時は、可能な限り「借入がない」ことが望ましいといえます。他の借入があると融資がおりないわけではありませんが、融資枠への影響やタイミングは、専門家にも相談するといいでしょう。

 

最後に見られるのが「家族構成」です。金融機関は独身の方より既婚の方を高く評価しています。既婚者はすでに家族を持っていることから、引越し、転職、結婚式の費用、出産費用など、これからのライフスタイルの変更による収入に大きく影響する変数が少ないと考えているからです。

 

このような基準で審査される区分マンション投資ローンですが、誰もが融資を通しやすくしたいと思うことでしょう。融資を通しやすくするには、大きく3つのポイントがあります。

 

まず「自己資金を多くして、融資額を減らす」ことです。融資額を減らせばその分金融機関はお金を貸すリスクが小さくなるので、融資が受けやすくなります。しかし自己資金を増やすことによって、「他人資本の利用」という不動産投資のメリットは、最大限に享受できなくなります。他人資本と自己資金のちょうどいいバランスを考える必要があります。

 

次に大切なのが、「最も有利なタイミングで申し込む」ことです。前述の融資で審査する項目の基準を満たしているときが、融資にとって最も有利なタイミングだといえます。昇進し収入が上がったなら、この人は将来有望だと金融機関は判断するので、本来より多くの融資を受けられる可能性があります。一方、転職したばかりのタイミングだと融資がおりない可能性もあります。人によってタイミングは異なるので、自身にとって最も良いタイミングを逃さないことが大切です。

 

そして「カードローンなどの返済を完了させる」ことも重要です。カードローンなどの融資があると、金融機関からは、その分、返済能力が少なくなると判断されます。カードローンなどの返済が残っている場合、基本的に融資は厳しいでしょう。

不動産投資会社の「提携ローン」は利用すべき?

実際に区分マンション投資ローンを受ける場合、自身で金融機関と交渉するか、不動産投資会社の提携ローンを利用するか、選択肢は大きく2つです。それぞれにメリットとデメリットがあります。

 

まず自身で交渉する場合、「深い付き合いの金融機関がある」「すでに不動産投資を行っている」「自身で事業計画書を用意し、金融機関担当と交渉できる」「高属性である」というような条件の方であれば、有利な条件で融資を受けられる可能性があります。

 

次に「不動産投資会社の提携ローンを利用する」場合を考えてみましょう。金融機関は不動産投資会社の取引実績などで金利を決めていますので、同じ金融機関でも経由する不動産投資会社が違えば、金利などの融資条件も異なります。また不動産投資会社の担当者がすべて手続きをしてくれるのが、自身で交渉する手間もありません。

 

一方、その不動産投資会社が金融機関とのパイプが細く、提携先が少ない場合、他社より高い金利になることがあります。そのため、きちんと不動産投資会社を選ぶことも非常に重要です。

 

 ◆まとめ 

区分マンション投資は、融資を活用して「他人資本」を享受できることがメリットです。もちろん融資は返済する必要があります。万が一返済できなくなるリスクもゼロではないので、きちんと返済についてシミュレーションをし、リスクを理解したうえで、無理のない借入れを実施することが重要です。

 

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本連載は、株式会社エワルエージェントが運営するウェブサイト「Estate Luv(エステートラブ)」の記事を転載・再編集したものです。今回の転載記事はこちら

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