海外投資家は「日本の不動産マーケット」をどう見ているのか?

今回は、海外投資家による日本への不動産投資および国内投資家による海外への不動産投資についてまとめたレポート「日本のインバウンド&アウトバウンド投資2018」より抜粋し、日本へのインバウンド不動産投資の現状と今後の見通しについて見ていきます。※ロサンゼルスを本拠とする世界最大の事業用不動産サービス会社のシービーアールイー株式会社(CBRE)。本連載では、そのリサーチ部門が世界の不動産市場の最新情報をお伝えします。

インバウンド不動産投資は「東京」から「地方」へ

■海外からのインバウンド投資額は前年から6割減少、大型取引の減少が主因

海外投資家による日本への不動産投資額は48.8億ドル、対前年比61%減。前年に散見された大型取引が今年は減少したことによる反動減が主因。

 

※日本円に換算した場合、約5,000億円

 

[図表1]海外からのインバウンド不動産投資額(出所 : CBRE2019年5 月)
[図表1]海外からのインバウンド不動産投資額(出所:CBRE2019年5月)

 

一方で、海外投資家はJ-REITの投資口への投資に積極的。2018年の海外投資家による買いは5.6兆円(対前年比28%増)で、3億円の買い越し。ドルベースの海外投資家にとっては、J-REITの高い配当利回りのみならず、対円の為替ヘッジプレミアムが背景と考えられる。

 

[図表2]海外投資家(法人)によるJREIT投資口の 売買動向(出所: 東京証券取引所、CBRE、2019年5月)
[図表2]海外投資家(法人)によるJREIT投資口の売買動向(出所:東京証券取引所、CBRE、2019年5月)

 

■2018年は北米の投資家割合が大幅に増加

北米からの投資が全投資額に占める割合は61%で、前年の39%から大きく増加。一方、アジア域内からの投資額については、前年は59.6億ドルで全体の48%を占めたが、2018年は投資額が対前年比71%減少、割合も36%に低下した。

 

[図表3]投資家地域別インバウンド投資額割合(出所: CBRE、2019年5月)
[図表3]投資家地域別インバウンド投資額割合(出所:CBRE、2019年5月)

 

アジア域内からの投資では、中国からの投資が2018年は把握されなかった。資本規制による影響が主因。一方で、シンガポール、韓国からの投資が増加した。

 

[図表4]アジア投資家国別インバウンド投資額割合(出所:CBRE、2019年5月)
[図表4]アジア投資家国別インバウンド投資額割合(出所:CBRE、2019年5月)

 

■インバウンド不動産投資は地方都市へ拡大、アセットタイプはオフィスに集中

大阪・名古屋を含む地方都市の投資額割合は前年の8%から41%に大幅に増加。大阪での投資額が対前年比131%増加したことが主因。

 

アセットタイプ別では、オフィス投資額が前年から32%減少したものの、全体に占める割合としてはもっとも多い58%を占めた。また、投資額が対前年比145%増加した物流施設は全投資額に占める割合も前年の2%から13%に増加した。

 

[図表5]上:投資先地域別インバウンド投資額の対前年変動 下:アセットタイプ別インバウンド投資額割合
[図表5]上:投資先地域別インバウンド投資額の対前年変動 下:アセットタイプ別インバウンド投資額割合

 

地方都市への関心は引き続き拡大の傾向

 2019年の見通し 

 

■インバウンドの投資先として、地方都市への関心が高まる

 

課題は価格と投資の機会:アジア太平洋地域におけるクロスボーダー投資家に質問した「投資先として魅力的な国ランキング」で、日本は3位となった。1位となった中国、2位のインドは、割安な物件への投資チャンスや、REIT市場のスタートによる透明性の向上に対する期待が背景と考えられる。3位の日本は、資産価格の高さ、投資案件の少なさが投資の障害とみる投資家が多い。

 

日本の魅力は好調な経済ファンダメンタルズによる賃料上昇:投資家は、安定した経済と、特に地方都市におけるオフィス賃料の上昇に対して魅力を感じているようだ。2019年は案件が限られる都心よりも、地方都市での投資が引き続き拡大するだろう。

 

投資姿勢は選別的に:日本を魅力的な投資先として選んだ海外投資家のうち、「取得額は2018年と同じか増やす」と回答した割合は76%と、前年から24ポイント減少した。また、「アウトバウンド投資にあたり、以前より選別的に行う」と回答した投資家は69%に上っている。

 

[図表6]クロスボーダー投資家が選ぶ魅力的な国(出所: CBRE Investor Intentions Survey 2019)
[図表6]クロスボーダー投資家が選ぶ魅力的な国(出所:CBRE Investor Intentions Survey 2019)

 

CBRE日本法人は、不動産賃貸・売買仲介サービスにとどまらず、各種アドバイザリー機能やファシリティマネジメント(FM)などの18の幅広いサービスラインを全国規模で展開する法人向け不動産のトータル・ソリューション・プロバイダーです。CBREの前身となった生駒商事が1970年に設立されて以来、半世紀近くに亘り、日本における不動産の専門家として、全国10拠点で地域に根ざしたサービスを展開してきました。

企業にとって必要不可欠な「ビジネスインフラ」として認められる不動産アドバイザリー&サービス企業を目指して、国内約1,100名を超えるプロフェッショナルが、最適かつ的確な不動産ソリューションを中立的な立場で提供いたします。
詳細につきましては日本国内ホームページwww.cbre.co.jp をご覧ください。 公式Twitterアカウント:@cbrejapan

CBREグループ(NYSE:CBG)は、「フォーチュン500」や「S&P 500」にランクされ、ロサンゼルスを本拠とする世界最大の事業用不動産サービス会社です(2018年の売上ベース)。全世界で90,000人を超える従業員、約480カ所以上の拠点(系列会社および提携先は除く)を有し、投資家、オキュパイアーに対し、幅広いサービスを提供しています。不動産売買・賃貸借の取引業務、プロパティマネジメント、ファシリティマネジメント、プロジェクトマネジメント、事業用不動産ローン、不動産鑑定評価、不動産開発サービス、不動産投資マネジメント、戦略的コンサルティングを主要業務としています。

写真は、リサーチ エグゼクティブディレクターの大久保寛氏。
CBREのリサーチ部門の責任者として、オフィス、物流施設、商業施設の賃貸市場ならびに売買市場のリサーチ業務を統括。製鉄会社および投資銀行勤務を経て1997年から2013年まで証券アナリストとして株式リサーチ業務に従事。2000年からはJREITを中心に不動産セクターを担当。UBS証券、ゴールドマンサックス証券、マッコーリーキャピタル証券、みずほ証券を経て、2013年10月より現職。

著者紹介

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※本連載は、シービーアールイー株式会社(CBRE)が発表するレポートから一部抜粋し、転載したものです。今回の取り上げたレポートはこちら
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