米国の不動産管理会社が「部屋の証拠写真」を撮っておくワケ

アメリカ不動産投資の魅力というと、「キャッシュフロー」を最大化できる点があげられるでしょう。そのためには、国内不動産投資と同様に、物件の価値を見極める「目利き」が必要となります。そこで重要となるのが、物件を正しく目利きする「アメリカ人の目」を持つことです。本記事では、書籍『日本人が絶対に知らない アメリカ不動産投資の話』より一部を抜粋し、不動産オーナーが管理会社を選ぶ際のポイントを解説します。

「とにかく言ってみる」という姿勢を貫くアメリカ人

◆交渉社会アメリカ

 

私が日本に来て、自分でも賃貸住宅に住み、また不動産の仕事に関わるようになって驚いたのは、管理会社の管理レベルが非常に高いことです。

 

なにか住宅に問題が生じたときは、電話で連絡すればすぐに対応してもらえますし、家賃や敷金の管理などでも、管理会社が原因となるトラブルが生じることはまずありません。一方、アメリカのPM(プロパティ・マネジメント=管理)会社は、一般的には日本ほど管理の質が高くありません。

 

よくあるのが、デポジット(敷金)をめぐるトラブルです。日本と同様に、アメリカでも、賃貸住宅への入居時に入居者はデポジットを、通常一カ月分支払うのが普通です。デポジットは管理会社が預かります。退去時に原状回復に必要な清掃などを行った際には、その費用分が敷金から差し引かれますが、日本では管理会社がきちんとした明細書を作り、残金があれば入居者に返済します。アメリカでは、このデポジットを巡るトラブルが非常に多く、管理会社が入居者にデポジットを返済しないことから、訴訟になることもよくあります。

 

そういった、ルーズな管理会社は問題外ですが(しかし、よく見られます)、日本人がアメリカ不動産を購入して管理会社を選ぶ際には、いくつかの重要ポイントがあります。第一は、入居者との交渉を丁寧にやってくれるかどうか、ということです。

 

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ご存じのとおり、アメリカは訴訟社会です。その背景には、世界中から集まったさまざまな民族や文化の人たちが集まっているので、「だまっていてはお互いに理解できない」という理由があります。日本のように、だまっていても「空気を読む」といった考えは、通用しません。

 

そのため、自分の考えを主張することが当たり前で、アメリカ人には「とにかく言ってみる」という姿勢がどんなときにも貫かれています。お互いが自分の意見を主張し合うため、やたらと「交渉ごと」が増えます。訴訟も一種の交渉ですから、訴訟が多いという事実は、社会全体で交渉ごとが多い「交渉社会」だということの、一側面にすぎないのです。

「証拠」をしっかりと保管しておく管理会社を選択

◆クレーム社会アメリカで、日本人オーナーが管理会社を選ぶ三つのポイント

 

管理会社の中には、交渉ごとをあらかじめ防止するため、「クレームは一切、受け付けません」といったような、非常に機械的で冷たい対応をするところもあります。当然ながら、そういう管理会社が管理する物件は入居者の評判が悪くなり、入居率にも影響します。

 

一方、入居者からのクレームをすべていちいちオーナーに報告されて、オーナーの判断をあおがれても、それはそれでオーナーとしては面倒です。とくに、日本とアメリカの時差を考えると、管理会社からオーナーに連絡があって、オーナーが判断して管理会社に指示をして、といったプロセスだけで、2日や3日は経ってしまいます。いちいち待たされる入居者は、いらいらしてしまいます。

 

そのため、ある程度のところまでは管理会社が自前で判断して、小さな修繕程度であれば現場で対応してしまい、それ以外の重大な事案だけをオーナーに連絡をしてくれる管理会社が、日本のオーナーにとってはベストです。

 

例えば、私たちが販売したテキサスの物件を管理しているグループ会社では、原則として500ドルまでの修繕などについては、現地の判断で行う、それ以上についてはオーナーの了承を得るといったルールを定めています。これによって、時差がある日本にいるオーナーでも安心して管理を任せられます。

 

ただし、緊急を要するケースはもちろん別です。

 

実際にあったケースですが、エアコンが故障して止まってしまったという連絡が入居者からありました。管理会社の人間が見に行くと、完全に壊れていて、交換しなければなりません。エアコンの交換となると、1500~2000ドルくらいはかかります。本来であれば、オーナーの了承を得るべきなのですが、テキサスの夏は気温が高く、エアコンなしでは1日も過ごせません。

 

もし、そこで時間がかかって、入居者に健康被害でも出てしまったら、それこそ損害賠償請求という話になるでしょう。そこで、現地の管理会社は、すぐに修理会社に連絡してエアコンを交換し、オーナーには事後報告としました。そのように、ときにはオーナー判断を待たない迅速な対応も必要となります。

 

管理会社選びの二つ目のポイントとしては、なにごとにつけても「証拠」をしっかり保管しておく会社であることです。繰り返しですが、アメリカ人はなんでもかんでも「言わないと損」だと思っているので、簡単にいろいろなクレームを言ってきます。たとえば、入居後に入居者が床のカーペットを汚してしまったとします。すると、「最初から汚れていたから、そちらの負担で直してくれ」といったことを言ってきたりします。その際には、入居前に撮っておいた写真を見せて、その汚れはなかった、と証拠ベースで反論しなければなりません。優秀な管理会社は、そういう準備もしっかりやっておきます。

 

三つ目のポイントは、日本語での対応が可能であること、毎月のレポートを遅れないできっちり出してくれることなどですが、これは当然のことでしょう。

 

私たちのお客様からは「アメリカだと入居者からの訴訟が多くない?」とよく聞かれます。もちろん、平均的に見れば日本よりは確実に多いでしょう。しかし、私たちがこれまでに販売した約700棟に関しては、いまのところ入居者から訴訟を起こされるケースは、1件も発生していません。これは、日本レベルを保つようにしている管理の質が、入居者から満足されていることも、大きな理由だと思われます。

 

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とはいえ、注意も必要です。

 

アメリカ人の私が言うのもなんですが、アメリカ人の中にも、仕事に対する責任感が弱く、時間を守らなかったり、契約書に間違いが多かったり、言ったことはやるけど、それに関連したことでも、言っていなければ絶対にやらない、といった感じの人もいます。もちろん、全員がそうというわけではありませんが、会社を背負った責任感を持ったり、お客様のために気を利かせて仕事をしたりといった意識をもたない人もいます。

 

そのため、最初は良いと思っていた管理会社が、年月が経つにつれてだんだん対応がルーズになっていく、といったこともあります。

 

そういうとき、アメリカでのビジネス経験があって、英語が得意な人なら直接管理会社に対してクレームを申し入れ、場合によっては管理会社を変えてしまえばいいのですが、多くの日本人オーナーにとって、それは少し荷が重いかもしれません。

 

 

ブロドスキ・ザクリ

株式会社オープンハウス ウェルス・マネジメント事業部 エグゼクティブコンサルタント

 

株式会社オープンハウス ウェルス・マネジメント事業部 エグゼクティブコンサルタント

アメリカでの大型住宅用土地の仕入れ・開発・販売などを経験し、豊富な知識を持つ不動産投資のプロフェッショナル。
米国経済の動向を肌感覚として理解しており、実際の物件管理、賃貸・売買実需状況を含めた、トータルなソリューションを分かりやすく解説。日本に10年間在住、フランクなバイリンガル。

著者紹介

連載日本人が絶対に知らない「アメリカ不動産投資」の話

本連載は、2019年3月13日刊行の書籍『日本人が絶対に知らない アメリカ不動産投資の話』から抜粋したものです。最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

日本人が絶対に知らない アメリカ不動産投資の話

日本人が絶対に知らない アメリカ不動産投資の話

高山 吏司
ブロドスキ・ザクリ
豊岡 昂平

幻冬舎メディアコンサルティング

2年間で約700棟の物件を仲介する今もっとも注目の最強集団が 本邦初公開の知識を惜しげもなく明かす! アメリカ不動産投資の知名度は、以前と比べれば上がっているとは言え、やはり「投資目的で、海外の不動産を購入する」…

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