アメリカ不動産投資の魅力というと、「キャッシュフロー」を最大化できる点があげられるでしょう。そのためには、国内不動産投資と同様に、物件の価値を見極める「目利き」が必要となります。そこで重要となるのが、物件を正しく目利きする「アメリカ人の目」を持つことです。本記事では、書籍『日本人が絶対に知らない アメリカ不動産投資の話』より一部を抜粋し、日本と異なる「アメリカ不動産」の実態を解説します。※アメリカ不動産投資 詳しくはコチラ

生涯で平均「11回」も引っ越しをするアメリカ人

◆自宅は売ることを前提で買う

 

日本では、「家は一生に一度の買い物」という意識を持つ人が多いでしょう。住宅メーカーのCMなどでも、そんな宣伝コピーがよく使われています。

 

一方、アメリカでは、「家は何度も買う」ことが当たり前です。何棟も持つという意味ではなく、売買を繰り返すという意味です。本連載第1回の最初に書いた通り、私が初めて家を買ったのは25歳のときでした。それを26歳のときに売り、別の家を買い、そちらもまた28歳で売っています(関連記事『アメリカ人が「節税」よりも「キャピタルゲイン」を狙うワケ』参照)。

 

この私の売買履歴は、アメリカでもやや珍しいケースだと思います。しかし、20代の半ば、つまり私と同年代で家を買っている人は、私の周りにもたくさんいて、決して珍しくありません。彼らに「その家にどれくらい住むつもりなの」と聞いたら、多くは「5~6年かな」と答えるでしょう。それが平均的なアメリカ人の感覚です。

 

まず、独身であっても、結婚していても、ある程度、きちんとした会社に勤めている人は、20代から30代の半ばまでで家を買う人が多いのです。都会ならコンドミニアムやタウンハウスが選ばれることが多いでしょう。そして、子どもができたら、もう少し広めのシングルファミリーハウスやマルチファミリーハウスに引っ越します。子どもが大きくなり、小学校、あるいは中学校に通うタイミングで、いい学校がある学区に引っ越すことがよくあります。

 

また、アメリカでは転職することが普通なので、夫婦どちらかの転職のタイミングで引っ越すこともよくあります。このような引っ越しの際にも、もちろん家を売買します。

 

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アメリカ人は、平均して、生涯に11回引っ越しをすると言われています。私も、今28歳ですが、すでに7回引っ越しをしていますので、その数字は妥当だと思います。もちろん、アメリカ人でも、収入が少ないので家を買えない、あるいは、どうせ引っ越すのに家を売買するのは面倒くさい、という理由で、一生賃貸住宅で暮らす人もいます。しかし、多くの人は自宅を資産だと捉えて、引っ越しによる売買のたびに、その価値を上げていこうと考えます。

「公開性」「透明性」の高いアメリカ不動産市場

◆「今、うちはいくら?」がすぐ分かる、透明性の高い不動産情報環境

 

アメリカ人が自宅の資産価値の維持・向上に強い関心を持つのは、引っ越しが多いことにも関係しています。もし、多くの日本人のように、「買った家に一生住む」と考えるのであれば、その建物の資産価値を気にする必要性は低いでしょう。ずっと自分たちが住むつもりで売る気がないのなら、建物の価格を気にする必要もありません。相続を考えるときに、気になるくらいでしょう。

 

しかし、アメリカでは家は売るものというのが前提ですから、家を持っているアメリカ人は、全員と言っていいほど、自宅の時価を気にしています。そして、それを簡単かつかなり正確に知ることもできるのです。

 

まず、アメリカには不動産取引に関する情報を集めた基本的なデータベースとして、MLS(Multiple Listing Service)という不動産情報システムがあります。ただし、これは登録不動産業者しかアクセスできないプロ用のシステムです。

 

MLSの情報も含めて、一般の人が不動産情報にアクセスできるように作られたのが、「Zillow」「Redfin」などの、オンラインの不動産売買情報サービスです。

 

もともとZillowが先発で、全米で知名度が高いのですが、後発のRedfinがZillowにはない即時性や、自前での仲介といったサービスを打ち出してシェアを伸ばし、NASDAQ上場を果たしています。日本からでもアクセスはできますので、一度ご覧になってみてください。その情報の豊富さに驚くでしょう(米国内でもカバーされていないエリアもあります)。

 

これらのサイトに象徴されるように、アメリカと日本の不動産市場で大きく異なるのが「情報公開」の面です。アメリカでは、すべてとは言いませんが、ほとんどの不動産売買情報がオープンにされ、プロか一般人かを問わず、だれでも物件の詳細情報にアクセスできます。その意味では、非常に公開性、透明性が高い市場が形成されています。

 

日本では不動産取引と言うと、どこか不透明で、一部の人だけが特別な情報を握っているようなイメージがあるのではないでしょうか。アメリカにもオフマーケット(市場に出ない)物件は当然あり、すべてが100%透明というわけではありませんが、一般の人がアクセスできる情報の質・量は、日本とは段違いです。

 

ZillowやRedfinでは、現在売り出し中の物件の価格や、過去の売買履歴や固定資産税、周辺相場、周辺学校ランクといった情報がわかります。これは当然ですが、売り出していない物件についても、「これくらいで売れるでしょう」という、各サイトが独自に算定した推定価格が掲載されることが特徴です。

 

もちろん、売り出されていない物件の場合は、周辺相場、物件の広さ、築年数、過去の売買履歴、納税記録、地域の治安や学区状況などをサイトが収集して、そこから推測をしているわけです。あくまでサイトが収集できる情報を基にして計算した推測ですから、サイトごとに違いがありますし、実際にその価格で売れる保証もありません。

 

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しかし、ある程度の信頼性はあり、多くの人が目安にしています。毎月「Zillow」で自宅の価格をチェックして、「◯◯ドルになったから、そろそろ売ろうかな」と考える人がたくさんいるのです。また、実際に売買する際に、エージェントに、「Zillowではこれくらいの価格になっているから、その値段で売って(買って)欲しい」という人もいます。

 

ただし、Zillowなどで示される推定価格が実際の市場価格と乖離していることも珍しくありません。そこで、本気で売り出しを考える場合は、アプレイザーに鑑定(アプレイザル)を依頼すれば、適正な市場価格を知ることができます。アプレイザーとは、日本で言う不動産鑑定士のような存在です。

 

このように、住宅価格形成の透明性が高いため、中古住宅でも売主・買主の無知につけこんで安く買い叩いたり、高く売り付けたりすることは難しいでしょう。このことも、アメリカの中古住宅価格が適正な水準に維持されている要因だと思われます。

 

 

ブロドスキ・ザクリ

株式会社オープンハウス ウェルス・マネジメント事業部 エグゼクティブコンサルタント

 

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本連載は、2019年3月13日刊行の書籍『日本人が絶対に知らない アメリカ不動産投資の話』から抜粋したものです。最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

日本人が絶対に知らない アメリカ不動産投資の話

日本人が絶対に知らない アメリカ不動産投資の話

高山 吏司
ブロドスキ・ザクリ
豊岡 昂平

幻冬舎メディアコンサルティング

2年間で約700棟の物件を仲介する今もっとも注目の最強集団が 本邦初公開の知識を惜しげもなく明かす! アメリカ不動産投資の知名度は、以前と比べれば上がっているとは言え、やはり「投資目的で、海外の不動産を購入する」…

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