「旧法借地権」「定期借地権」ともに税メリットあり
【借地権付き不動産のメリットとデメリット】
借地権付き不動産のメリットとデメリットを解説しますが、一般的に分譲されるのは旧法(普通)借地権と定期借地権の2つなので、それぞれのメリット・デメリットを解説していきます。
・旧法借地権のメリット
旧法借地権の不動産を購入するメリットは以下の点です。
① 価格が安い
② 固定資産税が不要
③ 相続税が軽減される
④ 基本的に更新可能
① 価格が安い
借地権は所有権に比べると、1割ほど安く売却されるケースがほとんどです。その理由は、そもそも借地権で購入した不動産の土地部分は「自分のもの」でないという点が大きな理由になります。ほかの理由としては、後述する「旧法借地権のデメリット」で解説します。
② 固定資産税が不要
借地権の場合は、土地は自分が所有しているわけではありません。そのため、建物の固定資産税は支払いますが、土地の固定資産税の支払いは借地権者になります。
③ 相続税が軽減される
そもそも、不動産を相続するときは、現金で相続するよりも70~80%まで評価額が下がります。借地権だとさらに評価が下がるので、相続税の節税効果が高いです。これは、土地を「所有」しているのではなく、「借りて」いるので、所有しているときよりも価値が低いと判断されるからです。
④ 基本的に更新可能
上述したように、旧法借地権の更新を拒絶する場合には、借地権者側の正当事由が必要で、その正当事由は明確に決まっていません。そのため、基本的には賃借人が更新の意思を示せば、更新するというケースが多いです。
・定期借地権のメリット
定期借地権の不動産を購入するメリットは以下の点です。
① 価格が安い
② 固定資産税が不要
③ 相続税が軽減される
④ 売買やリフォームの制限がない
上記の「② 固定資産税が不要」という点と、「③ 相続税が軽減される」という点は、前項の旧法借地権と同じなので割愛します。
① 価格が安い
定借地権も旧法借地権と同じく価格が安いですが、旧法借地権よりさらに安く、相場としては所有権の80%ほどです。というのも、一般定期借地権は「50年以上」の期間で設定して良く、多くの不動産が50年で設定されています。
つまり、50年後には必ず借地契約は切れてしまうので、20代や30代であれば、存命である可能性が高いのです。その点を懸念する人が多いため、旧法借地権よりも更に価格は安くなります。
④ 売買やリフォームの制限がない
後ほど「旧法借地権のデメリット」でも解説しますが、旧法借地権は売買やリフォーム時に制限がありますが、定期借地権にはありません。通常の所有権と同じように、借地権者を気にすることなく売買やリフォームできる点はメリットといえます。
資産価値を低く評価される可能性が高い
【旧法借地権のデメリット】
一方、旧法借地権の不動産を購入するデメリットは以下の点です。
① 地代がかかる
② 資産価値が低いと判断される
③ 売買時や更新時にお金がかかる
① 地代がかかる
旧法借地権は、基本的に借地権者に対して、毎月地代を支払います。その地代は、物価などと連動して変動することがあるので、将来にわたって金額未定の支払いが発生する点はデメリットと言えます。
② 資産価値が低いと判断される
また、所有権と比べて資産価値が低いと判断されるため、住宅ローンの審査に通りにくいです。というのも、住宅ローンを組む時は、金融機関が購入する不動産を担保に入れるので、その担保評価が低くなると借入審査のハードルが上がるのです。
そのため、更新しやすい旧法借地権とはいえ、所有権と比べると制限が多いので、資産価値が低くなり借入しにくくなります。これは、そもそも借地権の不動産を購入しにくいというデメリットもありますが、買い手が見つかりにくいという「売る側」の立場からもデメリットと言えます。
③ 売買時や更新時にお金がかかる
また、旧法借地権の場合は、売買や更新時には「承諾料」や「名義書き換え料」という名目でお金がかかります。それぞれ数十万円ほどに設定していることもあるので、契約時には金額を良くチェックしておきましょう。
【定期借地権のデメリット】
定期借地権の不動産を購入するデメリットは以下の点です。
① 更新できない
② 資産価値が低いと判断される
③ 地代がかかるか一括前払い金がかかる
④ 解体準備金が不足する可能性がある
① 更新できない
定期借地権の最大のデメリットは更新できないという点でしょう。上述したように、原則建物は解体して借地権者に変換するルールなので、期限を迎えたら退去せざるを得ません。
もしかすると、期限満了時に再度地権者と契約を結ぶこともあるかもしれませんが、定期借地権が出来てからまだ50年経っていないので前例はありません。そのため、基本的には更新はできないと考えておきましょう。
② 資産価値が低いと判断される
また、定期借地権は旧法借地権以上に資産価値が低いと判断されます。そのため、旧法借地権以上に売買が大変になる点はデメリットです。
③ 地代がかかるか一括前払い金がかかる
定期借地権の場合も、旧法借地権と同様に毎月地代がかかるか、もしくは一括で地代を支払います。一括支払いの場合は毎月の支払いはありませんが、物件価格にその価格が上乗せされます。
④ 解体準備金が不足する可能性がある
定期借地権は、建物を解体して借地権者に返還します。そのため、毎月解体準備金が徴収されるか、もしくは諸費用として一括で徴収されます。いずれにしろ、ローリスクの債券などで増やす前提、かつ分譲時の解体見積もり金を基に積算している金額です。
つまり、将来的に解体金が飛躍的に上昇したり、債券などの運用が上手くいかなかったりする場合には、解体金が足りなくなるリスクがあるのです。その場合は、その建物の所有者が不足分を補うことになります。