「職場の問題」を本質的に解決できない企業も存在する
前回紹介した「沖縄県人材育成企業認証制度」の認証審査においては、企業規模は10〜5000人超まで、業種・業界は観光・IT・福祉・金融・建設など、歴史は3〜50年超まで、ありとあらゆる会社にお伺いします。
従業員アンケートやヒアリングを通して、経営者の未来を見据える目、中間管理職や人事担当者の熱い思い、社員の切なる願いなどに触れるうちに、とあることに気づきます。
それは、認証を取得する企業は、何をやっても「うまくいく」状態が長続きする。その一方で、認証を取得できない企業は、一時的には改善するものの、結局「元に戻ってしまう」という傾向があることでした。
そして、明確な原因が把握できないまま「なぜか、うまくいかない」という状態が続いているため、「職場の問題」を本質的に解決できないでいるのです。
そこで感じたのは、各社、人材育成における「仕組み」と「仕掛け」に、個性や特徴があること以上に、認証を取得する企業には、「企業文化」や「組織風土」そして「コミュニケーション」の良し悪しとは異なる、共通の「何か」が存在するということでした。
その「何か」は、生活習慣病予防のために偶然手に取った本『代謝を上げると健康になる』(鶴見隆史著、マキノ出版)にあった、「基礎代謝」でした(以下の図表1参照)。
[図表1]基礎代謝が上がるメリット、下がるデメリット
この「基礎代謝」を企業に当てはめて考えてみると、「基礎代謝が高い」企業は、良い状態が連動して続き、「基礎代謝が低い」企業は、好ましくないことが連鎖して起こる。こういうことが見事に当てはまるのです。
「基礎代謝が低い職場」は何をやっても効果がない!?
「基礎代謝」という言葉に出合ってから、ずっと考えていたことがあります。
それは、身体(=人)に「基礎代謝」があるように、企業(=法人)にも「基礎代謝」があるのではないか。そして、「企業(は)人なり」という考え方があるように、「企業(も)人なり」という考え方もあるのではないか。
そのため、能力はあっても、「基礎代謝」が下がると「人」も「職場」も実力(パフォーマンス)が低下するのではないかということでした。
そこで、医療・美容関係者、スポーツ選手などさまざまな分野の方にヒアリングを行った結果、以下の図表2にあるように、身体(=人)と企業(=法人)を「基礎代謝」で関連づけし、整理することができたのです。
[図表2]「基礎代謝」が低下した状態─身体(人)と企業(法人)の対比