今回は、労働生産性アップを目指す「働き方改革」の基礎知識を紹介します。※本連載は、「職場の基礎代謝®」専門家、沖縄人財クラスタ研究会の代表理事である白井旬氏の著書、『生産性を高める職場の基礎代謝』(合同フォレスト)の中から一部を抜粋し、組織の生産性を向上させる「職場の基礎代謝」と、社員の能力×職場の基礎代謝=会社の実力(組織の生産性)という考え方を紹介します。

9分野の是正を目指す「働き方改革実行計画」

2017年3月28日、日本政府は首相官邸で働き方改革実現会議を開き、長時間労働の是正や同一労働同一賃金の導入を盛り込んだ「働き方改革実行計画」をまとめています。

 

この計画は、具体的には以下の9分野です。2017年度からの10年間の工程表も盛り込まれており、「働き方改革」について大きな一歩を踏み出したといえます。

 

①非正規雇用の処遇改善(同一労働同一賃金など)

②賃金引上げと労働生産性向上(最低賃金の引上げなど)

③長時間労働の是正(時間外労働の上限規制など)

④柔軟な働き方の支援(テレワークの拡大、副業・兼業推進など)

⑤子育て・介護と仕事の両立推進(保育・介護職員の待遇改善など)

⑥外国人材の受入れ(具体的に、検討開始)

⑦女性・若者の活躍推進(就職氷河期世代への支援など)

⑧転職・再就職の支援(転職受入れの助成、人材教育など)

⑨高齢者の就業促進(65歳以上の継続雇用など)

非正規職員の待遇は、全国的にも改善傾向にあるが…

これら9分野のうち、①〜④、⑧は「非正規職員の待遇改善や労働時間短縮につながる労働生産性の向上」ともいえます。その中で、非正規職員の待遇については、全国的にも改善傾向にあります。

 

実際に、私が2006年から暮らしている沖縄県(一人あたりの県民所得が全国最下位)でも、ここ10年で最も高いという実感がありますし、求人誌を発行している企業や人材紹介会社へのヒアリングでも改善傾向にあるという回答を得ています。

 

この側面だけを見ると、企業側の業績がアップし、それが、正社員や非正規職員への待遇改善へと還元されているように感じてしまいますが、実態はそうでもなさそうです。

 

これは、「業績がアップしたことによる待遇改善」ではなく、「人材不足に対応するための待遇改善」であることを示しており、このままのムリな状態を続けていると、近く、破綻する企業が増えるのは想像にたやすいところです。このことからも、パフォーマンス(労働生産性)アップは「働き方改革」の本丸であることは間違いなさそうです。

生産性を高める職場の基礎代謝

生産性を高める職場の基礎代謝

白井 旬

合同フォレスト

「働き方改革といわれても、いったい何から手をつければいいのか・・・」 そんな悩みをお持ちの経営者、人事担当者、管理職の皆さま。まずは「職場の基礎代謝」という考え方を取り入れてみませんか? 健康のために代謝を…

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