前回は、医療・介護従事者が「患者の人となり」を知るべき理由を説明しました。今回は、医療従事者と患者の「心の通った付き合い」が、治療にどのような成果を生み出すのかを見ていきましょう。

患者を「人として見る」ことで互いの距離が近くなる

こちらがその人と「付き合う」気持ちで向き合っていくと、相手の患者さんも変わってくるのが分かります。「患者」ではなく「人」として見てくれてるのが伝わることで、私たちに相談してくれる内容も変わってくるわけです。時には、その患者さんの家族のことで「こんななんだけどね」と相談をされたり。なんというかお互いの距離が近くなる。

 

それでなんのいいことがあるのかというと、たとえばリハビリです。患者さんは退院して家に帰れるようになるために体を動かさないといけない。だけど、体って心が動かないと動かないものなんです。そのきっかけとなる「心が動く」ものを私たちは探している。

 

たとえば歩くという行為は同じでも、患者さん本人がそこでどれだけ前向きな気持ちになれるか。気持ちが動いていないと、ただ言われたからやっているだけで体が本当に動くようにはなりません。

自分らしい生活を思い描ければ、リハビリにも前向きに

前述した「自分の家でその人らしく暮らすことができて、はじめて病院でやったことの意味が分かってくるのだ」というH先生の言葉がまさにそれです。患者さん本人の「その人らしい生活」が描けていればリハビリだって気持ちが乗ってきます。早くそっちの生活に行きたくなる。

 

人とちゃんと付き合うことができてるスタッフはそこをうまく見ています。この人はどんなことをしてるときが幸せなんだろう。家族といる時間なのか、自分の好きな何かに没頭してる時間なのか、地域の人と交流している時間なのか。そういうことを、理解して目の前の人と付き合っていると、相手も気持ちが通じてくるのでリハビリでもやっていることの成果が出てくるわけです。

本連載は、2017年10月31日刊行の書籍『医療・介護に携わる君たちへ』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

医療・介護に携わる君たちへ

医療・介護に携わる君たちへ

斉藤 正身

幻冬舎メディアコンサルティング

悩める医療・介護従事者たちへ、スタッフ900人超を抱える医療・社会福祉法人の理事長が送る「心のモヤモヤ」を吹き飛ばすメッセージ! 日々、頑張っているつもりだけどなぜか満たされない、このままでいいのかと不安になる…

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