前回は、「コミュニケーション力」は誰のためにあるのか、今一度考えました。今回は、医療の現場で患者により良い印象を与える、著者が提唱する「ファンコミュニケーション」について説明します。

大切なのはコミュニケーションを「楽しむ」こと

さらに一歩踏み込んだコミュニケーションという点では、自分に対してみんなに振り向いてもらえるようなスキルも必要になってきます。

 

私が数々の影響を受けさせてもらった兄貴分の先生方もみんな、それぞれやり方は違っても人を惹きつける力を持っています。自分を表現する技術という言い方もできますが、今の人たちも、もうちょっと持っていてもいいのにと思います。

 

最近は、人と直接コミュニケーションすることに抵抗がある人もいますが、どんな仕事であっても、この人といると気分がいい、何か魅力的だなと思ってもらえることはいい結果につながります。そういうと、いわゆる話がうまい人、誰にでも初対面から近づいていける人などをイメージされそうですが、そういうことでもない。

 

口下手でも物静かでも、相手のことを分かって、相手に自分の言葉で話してということができれば大丈夫。難しいことではないんです。その原点は「人が好き」ということ。コミュニケーションの相手はスマホでもAIでもない「人」です。心のある相手。その人といることを楽しむことを目指してほしい。

 

私はそんなコミュニケーションを「Fun Communication(ファンコミュニケーション)」と呼んでますが、結構大事なことです。ファンとは楽しむこと。コミュニケーションをしましょうというと「あいさつ」をやたらしようとすることがありますが、それは一方通行のあいさつです。

 

「こんにちは」にせめていい笑顔が添えられているとか、そこに相手のことを気遣う言葉があるとか、場合によっては相手の時間が大丈夫そうなら「この前、こんなことがあって」と自分のことを知ってもらえるような話をする。

目の前の人に興味を持つところから始めよう

よほど変わった人でなければ、自分に対して親しくコミュニケーションしてくれる相手に悪い気はしません。この人、いい人だなと思えれば、それだけで何だかいい気分になれる。それって人を惹きつけているし、楽しませていますよね。

 

こういうことは自然にできるようにはならないもの。意識してやっていかないときないものです。若くて経験がないからとか、苦手だからということではなく「意識してやっているか」ということだけ。

 

その第一歩は、まず目の前の人に興味を持つこと。あまり接点がないように思える人でも意識して興味を持ってコミュニケーションを楽しんでみると、いろんなことを知ることができます。

 

そんな経験もされてきたんですね、というようなことを一つでも相手から知ることができれば、それは自分の財産を一つ増やしたことにもつながります。

本連載は、2017年10月31日刊行の書籍『医療・介護に携わる君たちへ』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

医療・介護に携わる君たちへ

医療・介護に携わる君たちへ

斉藤 正身

幻冬舎メディアコンサルティング

悩める医療・介護従事者たちへ、スタッフ900人超を抱える医療・社会福祉法人の理事長が送る「心のモヤモヤ」を吹き飛ばすメッセージ! 日々、頑張っているつもりだけどなぜか満たされない、このままでいいのかと不安になる…

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