前回は、不動産投資による所得税節税の効果がさほど高くない理由を説明しました。今回は、賃貸不動産の活用で「相続税が大幅に圧縮できる」理由を見ていきます。
現金を不動産に変えることで、評価額を大きく下げる
相続税については、所得税と異なり、その節税メリットは非常に大きくなります。例えば、1億円の現金を持っていた場合、相続税の評価額は1億円のままです。しかし、その1億円で1億円分の不動産を購入すれば相続税の評価額を最大で半分近くまで下げることができます。これはすごいことです。
さらに不動産を賃貸することで相続税評価額をよりいっそう下げられます。人に貸している不動産は、そうでない不動産に比べて評価が大きく下がる仕組みになっているからです。
しかも、不動産を購入する際に銀行などからローンを借りると、債務(ローン)はマイナスの財産として評価され、その結果、相続税の対象となる財産の総額は減少することになります。
相続税の計算では、建物と土地の計算式が違う点に注意
具体的に、相続税をどれだけ下げられるのかをみてみましょう。
まず、相続税の計算では、建物は固定資産税評価額、土地については路線価が用いられます。建物の固定資産税評価額は時価の6割から7割ほど、路線価は時価の約8割です。
さらに、賃貸している建物、土地は以下のような計算式によって相続税の評価額が計算されます。
建物=固定資産税評価額×(1-借家権割合[30%])×賃貸割合
土地=路線価×(1-借地権割合[30%〜90%]×借家権割合[30%])×賃貸割合
この話は次回に続きます。
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宅地建物取引士
2級ファイナンシャルプランニング技能士
1980年千葉県生まれ。2004年駒澤大学経済学部卒業後大手不動産デベロッパーに入社し、新築投資用ワンルームマンションの販売に従事。その後アメリカ最大手の金融機関へ入行し、リスクマネジメント担当の経験を積む。2008年に大手投資用不動産会社に入社。築浅マンションから築40年のマンションまで様々なブランド物件の、仕入れ専門の売買仲介を経験する。不動産業界の現場最前線で日々、数多くの不動産投資に関する顧客相談を受けつつトップセールスとして活躍し、数々のタイトルを獲得。
2011年、東日本大震災のボランティアで被災者との交流から「自分には何ができるか」を考えた末、「今まで培ってきた経験を活かして、不動産投資にお困りの方、またはこれから不動産投資をお考えの方にプロとして最低限のアドバイス。これならできる!」と、強い思い入れのあった起業を決意。同年9月に投資用不動産専門の株式会社パートナーズを設立。物件の仕入れから販売、賃貸管理などのプロパティ面、アフターサービス、出口戦略まですべてサポート可能な投資用不動産のエキスパート集団を率いる。
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