前回は、「アパートローン」の利用では、不動産業者を上手に活用すべき理由を説明しました。今回は、融資審査ではどの点をチェックされるのかを探ります。

審査では、投資対象の価値と人の属性がチェックされる

不動産会社を通じて金融機関にローンを申し込んだあとは、融資の審査が行われることになります。

 

この融資審査で具体的にチェックを受けるのは、“モノ”と“ヒト”です。モノは投資対象である物件そのものの価値、ヒトはローンを借りる人の属性です。

 

まず、物件の価値に関しては、投資する不動産からどれだけの収益を上げられるのかを、賃貸市場の動向など客観的なデータをもとに評価されることになります。

 

一方、人の属性については、年収、資産、職業などの要素が審査対象になります。資産については保有している預貯金や財形貯蓄、株式などを含めて総合的に判断されます。職業は、公務員や上場企業の社員など安定性の高い職場に勤めている場合にはやはり大きなプラスになります。

 

また、もちろん信用情報についての確認も行われます。例えばほかの金融機関で抱えているローンの残額や、クレジットカード等の滞納の存否などがチェックされます。

 

こうした“モノ”と“ヒト”の審査を経たうえで、融資の可否や、貸し出し金額、金利などの融資条件が具体的に決められることになります。

「政策金融公庫」の融資を利用するという選択肢も

では、不動産会社を通じてローンを依頼したものの、断られたり、あるいは望みどおりの金額を借りられなかったりなど、不本意な審査結果に終わった場合にはどのような対応をとればよいのでしょうか。

 

まずは不動産会社が提携している別の銀行などにもアプローチしてみましょう。ローン審査の基準は金融機関ごとにまちまちです。そのため、ある銀行ではローンを断られたが、ほかの銀行ではOKが出たということも十分にあり得ます。

 

また、アパートローンではなく、政策金融公庫から事業資金として借りるという方法もあります。政策金融公庫は、中小企業や個人事業主を対象として融資を行う政府系の金融機関です。不動産賃貸業も事業の一つといえるので、そのために必要となる資金も融資対象となるのです。

 

政策金融公庫からお金を借りる際の注意点としては、期間は原則10年なので、アパートローンのように借入期間を25年、30年と長期に設定することはできず、借入金額が大きい場合は毎月の返済の負担が重たくなるおそれがあることです。そのため、多額の自己資金を用意して余裕を持った状態で計画を立てる必要があります。

 

なお、不動産投資の資金を調達する別の手段として、現在、口座を持っている銀行に多額の預金をしているような場合には、その預金を担保にすることで融資を得られることもあります。

 

このほかにも融資を受けるための方法はさまざまに考えられます。物件を取り扱う不動産会社に相談しながら、その時々の状況に応じて最善の手段を探し出してみるとよいでしょう。

 

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本連載は、2017年12月25日刊行の書籍『不動産投資の「勝ち方」が1時間でわかる本』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

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吉村 拓

幻冬舎メディアコンサルティング

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