前回は、投資用不動産のローンを「繰り上げ返済」するメリットを取り上げました。今回は、収益物件の管理について考察します。

管理業務は「賃貸管理会社」に任せるのが無難

結論からいうと「何もしない! 面倒臭いことを含めてすべて丸投げできる」のが不動産投資の醍醐味の一つです。不動産投資を進めていくなかでは物件の維持・管理(管理業務)を行っていくことが不可欠になります。

 

主な管理業務としては、家賃の回収や滞納者への督促、入居者からの要望やクレームへの対応、賃貸借契約の更新、入居者の退去時の対応などがあげられます。わかりやすくイメージできるように、具体例で示してみると―。

 

① 入居者から「エアコンが壊れた」と伝えられ、早急な修理を求められた。電話があったのは一日仕事で疲れて帰宅して、食事を済ませ、お風呂から上がりそろそろ寝ようかと思った夜中の23時・・・。

 

② 家賃の支払日が10日も過ぎているのに支払われていない。入居者に請求しようと何度も電話しているが、折り返しの連絡が一度もなく毎回、留守番電話にメッセージを残すだけで、不安とストレスがたまり、仕事にも支障が出る一方。

 

③ 入居者が賃貸借契約を更新せず退去することになった。退去時に室内の状況を確認したところ、壁にひどい汚れを発見したので指摘して、壁紙張り替え費用を敷金から差し引くと伝えた。ところが、「その汚れは入居前からあった」「経年劣化によるものだから敷金は返してほしい」と専門的な用語も交えて反論され、どう対処してよいかわからなくなった。

 

今あげたほんの一部の例からも推測がつくように、管理業務のすべてをオーナー一人が独力で行おうとすれば、たいへん面倒な手間がかかることは避けられません。とりわけ、③のようなケースで話がこじれた場合には、退去者とのやりとりのために相当の時間をとられることになるでしょう(時間だけでなくお金もかかり、なによりも精神的な負担も大変なものになります。最悪の場合、入居者から敷金返還請求の訴訟を起こされるケースも実際あるのです)。

他者に委託できる点こそ、不動産投資最大のメリット

今現在、何も仕事を持たず暇を持て余しているような人や大家を本業としている方、セミプロ玄人の方であれば、趣味や勉強のつもりで、そうした煩雑な管理作業の数々を勉強も兼ねて楽しみながら行うこともできるかもしれません。

 

しかし、サラリーマンや会社の経営者など本業を持っているような人が、物件の管理業務のために時間を割くことは容易ではなく、また現実的ともいえません。実際のところ、不動産投資を行っている人のほとんどは、管理業務に関しては賃貸管理専門の業者である賃貸管理会社に丸投げしてすべて任せています。特に我々のような「投資用不動産専門の賃貸管理会社」に任せているケースが多いです。

 

賃貸管理会社は、オーナーに代わって、先にあげたような入居者からの要望等への対応や、賃料の徴収など面倒な管理作業をすべて行います。また、入居者が退去したあとは、広告活動などを展開し新たな客付けも行います。賃貸管理会社に管理業務を依頼した場合、オーナーのすることはほとんどなくなり月々の管理状況について報告を受けるだけになるでしょう。

 

そもそも、購入した物件の管理を賃貸管理会社に任せられることは、不動産を投資対象として選ぶことの大きなメリットの一つといえます。余計な手間や労力をかけずに、不動産投資を最大限、効率的に進めていきたいのであれば、このメリットを利用しない手はありません。

 

なお、私から見ても「良い物件だな」と思える物件でも、依頼している賃貸管理会社の仕事がずさんなために、相場よりも低い賃料で入居付けされていたり、入居者に保証人も保証会社もついておらず、何かあった時の対処に困る、とても安心できないような状態であったり、担当者の対応が悪く精神的に悩まされていたりするオーナーもいます。

 

「不動産は管理を買え」という言葉のとおり、物件選びは「賃貸管理会社」も考慮しながら行っていくのがベストです。他社などから購入をしたオーナーの方から「賃貸管理だけでもお願いできるか?」と相談されることがしばしばあります。答えは、もちろん「ぜひ、お任せください」です。当然、収益の柱として賃貸管理の代行収入はいただきますが、顧客とウィンウィンの関係を構築できるよう全力を注ぎますのでお任せください。

 

ひと昔前は賃貸代行手数料5%がどこも主流でしたが、最近では極端に安い手数料で請け負ってくれるところもあります。しかし、安かろう悪かろうしかり、我々不動産会社も事業として行っているため、最低限のフィーを頂けないと、正直良いパフォーマンスができないのも現状です。 また、マンション経営とは不動産オーナーであることで、大家業=経営者なのだと認識してください。ということは、社長が0から100までやると会社は大きくならず、うまくいきません。賃貸管理費は一般的には家賃の5%程度が多いですが、私の会社でいうと3000円(税別)が一番多い契約形態です。

 

仮に賃貸管理を任せる社員を月々3000円で雇用して、これらの面倒くさいことすべてを賄ってくれるのであれば、貴方が経営者ならその方を雇用しますか? それとも自分でやりますか? またその雇用する相手は同じ金額だとしたら、経験豊富なベテランかそれとも未熟な若手か、どっちがいいでしょうか? 経営に支出はつきものです。優秀な人材を雇用し支出をプラスの投資に転じさせるほうが良い経営が出来ると私は思います。

 

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本連載は、2017年12月25日刊行の書籍『不動産投資の「勝ち方」が1時間でわかる本』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

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吉村 拓

幻冬舎メディアコンサルティング

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