積極的に繰り上げ返済を行って「利息の負担」を軽減
無事にローンを借りることができたら、あとは返済計画にしたがって、毎月所定の返済をしていきます。ただしそれも入居者が支払う家賃を原資として返済します。それにプラスアルファして当初収支計画で定めた、自己資金による返済が仮に月に5万円とした場合は、毎年60万円の繰り上げ返済を1年目も2年目も続けるだけです。
またここも不動産投資の良いところなのですが、人生何があるかわからないので、仮に一時的に繰り上げ返済の費用を他の支出に充てたい(子供の学費等)時には、繰り上げ返済を休憩することも当然できます。しかも、その間もローンの支払いは入居者が支払う家賃で賄うことが可能です。
変動金利の形で借りる場合、今は平均でも1%〜3%台の低金利なので、利息の支払いをそれほど負担に感じることはないかもしれません。しかし、今後もこのまま低金利の状態が続くとは限らず、5年後、10年後には金利が今より上がっている可能性も十分にあり
得ます。
先にもみたように、金利が1%上がるだけでも支払う利息の額は大きく増え、返済の負
担感が一気に強まることになります。そうした金利上昇のリスクを軽減するためにも、意識して繰り上げ返済を行い元本を少しでも減らしていくことが望ましいといえるでしょう。
例えば入居者から支払われる家賃で年間40万円元金が減る場合、10年間で減る元金は約400万円です。それに加え、仮に賃料収入のキャッシュフローが年間12万円プラスだった場合(10年で120万円)、それをローンの繰り上げ返済にあてれば10年の返済額は520万円。さらに自己資金によって年間30万円(10年で300万円)を追加で返済にあてれば、10年で820万円ものローンが返済できます。
この“トリプル返済”により、早期に完済を実現することが大切です(以下の図表を参照)。
[図表]”トリプル返済”によりローンを早期に完済する
このような形でローンをどんどん減らしていけば、当初予定していた返済期間の前にローンを支払い終えることができるでしょう。
30年、35年と長期のローンを組んだとしても、つまりは当初の完済予定期間は長くても「15~20年以内には完済する」という感覚で始めることをオススメします。繰り上げ返済で元金が減れば利息も減るので、加速度的に返済することが可能になるのです。
もし30年ローンを組んで最初の10年にトリプル返済を行うなら、あとは次の5〜10年で一気に完済を目指すのがベストです。
そうした計画もなく、フルローンでただただ2件3件と購入するのは危な過ぎます。逆に、しっかりと計画を立て、それにしたがって着実に完済することができれば、2件目、3件目の不動産を購入する際にスムーズにローンを借りることができるなど、不動産投資をより効率的に進めることが可能になるでしょう。
持ち続け、「収益」を生む仕組みづくりに注力
家族で夢のマイホームを持つということは損得勘定を抜きにした、幸せの形や理想の家族生活の始まり。投資用不動産はマイホームと対極の存在だと個人的に思うので、投資用不動産の購入を検討する場合は、目先の金利や利回りにとらわれて欲をかかずに、冷静に判断してスタートしてください。
「そのときになったら売却すればいい」と思っていても、購入時と売却時は景気の状況な
ども含め希望金額で売却できるかどうかは別問題であり、往々にして希望金額では売却できないのが現実です。
もっと言うなら、売らざるを得なくなったタイミングで慌てて売却を検討しても、ほとんどの場合で希望額よりも大幅に安く物件を手放すことになってしまいます。
あくまでも、物件を資産として持ち続けることで収益を生む仕組みづくりに注力してく
ださい。