前回に引き続き、賃貸不動産の活用で「相続税が大幅に圧縮できる」理由を見ていきましょう。今回は、実例を交えてより詳しく解説します。

現預金を不動産に変え、支払う相続税を大きく圧縮

前回の続きです。

 

下記の図表を見てください。私が実際に取り扱った物件の相続税評価額です。

 

[図表]東京都中央区 売買価格2000万円の物件

注)賃貸不動産の相続税評価額の土地の80%と、建物と土地の100%は条件によって変動します。
注)土地と建物の30%は借家権割合で、年度と都道府県で異なります。H29年度の東京都は記載の通り30%です。
注)賃貸不動産の相続税評価額の土地の80%と、建物と土地の100%は条件によって変動します。
注)土地と建物の30%は借家権割合で、年度と都道府県で異なります。
H29年度の東京都は記載の通り30%です。

 

このマンションの購入価格に相当する2000万円を現預金でもっていた場合に比べて、評価額は約4分の1にまで減ったことになります。そうなればトータルの保有資産額が「3000万円+600万円×法定相続人の数」という基礎控除の枠に収まる可能性は当然上がり、相続税ゼロも十分ありえます。

 

こうやって現預金を不動産に変えることによって、支払う相続税を大きく圧縮することが可能となるのです。

相続対策として投資用不動産を買うケースは増えている

実際、相続税対策として投資用不動産を購入しているお客様は2015年の相続税の増税以降かなり増えています。我々の顧客も投資用不動産の相続メリットに大きな関心を持ち、現金から不動産へ資産をシフトしていっています。

 

国土交通省が2007年に行った「民間賃貸住宅に係る実態調査(家主)」では、不動産オーナーが賃貸住宅の経営にかかわった動機についてアンケート調査が行われています。その中で相続税対策を理由にあげている人は34.7%に達しています。

 

また、現在、60歳以上の人たちは日本人の資産のうち1000兆円以上を保有しており、この1000兆円が今後、30年間をかけて相続により次世代に移転されることになるといわれています。そして、その相続税対策に投資用不動産が利用される結果、不動産の“相続税対策特需”は30年続くとみられています。

 

相続対策における不動産の圧倒的メリットが、賢い資産家の間で大きな注目を集めているのです。

 

当社でも「相続税の負担が重い。なんとかしたい」と考えて、投資用不動産購入の相談に訪れる人が数多くいます。とりわけ、70〜80代の親を持つ40~50代以上の人からの相談が目立ちます。資産を多く持っている高齢世代の判断能力が、近年問題視されている認知症などでなくなる前に、子供世代とともに資産経営を考える、という人が増えているのです。

 

最近では家族信託という手法を取り、親から子どもへ、そして孫の世代まで資産を守り生かしつつさまざまな問題に対してトラブルなく円滑に相続していくようなことも少しずつ注目されるようになりました。

 

現金や株式などほかの投資商品では、相続税の負担を減らすことはできません。相続税の節税対策として不動産投資が有力な手段となることは間違いないでしょう。

 

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本連載は、2017年12月25日刊行の書籍『不動産投資の「勝ち方」が1時間でわかる本』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

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吉村 拓

幻冬舎メディアコンサルティング

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