前回は、収益物件の活用で「必要経費」として認められる支出について解説しました。今回は、「資産管理会社」を利用するメリットを見ていきます。

個人と法人の税率差分の「節税」が可能に

Q:資産管理法人を新たに作るメリットは?

 

所有している物件が増えてきたのですが、個人で購入しているため、所得税が最高税率になってしまいました。税金の負担感を考えると、そろそろ資産管理法人を作ろうかと考えています。資産管理法人を新たに作るメリットは何でしょうか?

 

 

A:税率差による節税、経費枠の拡大、所得の分散などメリットは多数

 

収益物件を取得する際の仕組み構築において、重要な役割を果たすのが資産管理会社です。資産管理会社を設立し、その会社を利用することで、収益物件活用の展開をよりスムーズに行うことができます。

 

資産管理会社を利用するメリットは大きく分けて4つあります。

 

税率……個人の所得が高額な人は、法人で物件を所有することで、個人と法人の税率の差の分、節税ができます。現在の我が国においては、個人の所得税は増税の方向であるのに対し、法人税は減税の方向に動いています。

 

②また、個人で物件を所有している場合でも、サブリースや管理委託で利益の一部を法人に移転することで、所得税を圧縮することが可能です。

 

経費枠の拡大……一般的に個人よりも法人のほうが経費として認められる幅が大きくなります。

 

所得の分散……法人化し、家族を社長や役員にして役員報酬を支払うことで、支払う給与は必要経費として計上できるうえ、受け取るほうも給与所得控除が使えるので家族内で所得の分配を行いながら節税することが可能になります。

 

株式会社設立には「20万~30万円程度」の費用が必要

これらのメリットがある一方で、資産管理会社を設立・運用するにあたっては、デメリットもあります。

 

 

まず、設立に費用がかかります。株式会社を設立する場合にかかる費用は、20万~30万円程度です。また、運用においてもランニングコストがかかります。具体的には、税理士への報酬(決算費用)が個人の確定申告よりも複雑になるため年間30万~50万円以上、赤字の場合でもかかってくる均等割といわれる法人地方税が最低年7万円です。そのコスト以上の節税効果が発揮できる場合にのみ、法人化は有効な手段となります。一定規模(数千万円)以上の賃料収入がある場合に法人にするメリットがあると考えてよいでしょう。

本連載は、2016年7月29日刊行の書籍『利益と節税効果を最大化するための収益物件活用Q&A50』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

本連載は情報の提供及び学習を主な目的としたものであり、著者独自の調査に基づいて執筆されています。実際の投資・経営(管理運営)の成功を保証するものではなく、本連載を参考にしたアパート事業は必ずご自身の責任と判断によって行ってください。本連載の内容に基づいて経営した結果については、著者および幻冬舎グループはいかなる責任も負いかねます。なお、本連載に記載されているデータや法令等は、いずれも執筆当時のものであり、今後、変更されることがあります。

利益と節税効果を最大化するための収益物件活用Q&A50

利益と節税効果を最大化するための収益物件活用Q&A50

大谷 義武

幻冬舎メディアコンサルティング

【物件選びから融資、管理、税務、売却まで「知らなかった」ノウハウが満載! 500棟6000戸を管理し入居率98%を実現してきた不動産のプロがワンランク上の知識とテクニックを全公開】 不動産投資のノウハウに関する情報は書籍…

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