毎年6%程度の法人に実施される「税務調査」
Q:税務調査の連絡がきたらどうする?
税務調査が入るとの連絡がきました。経理についてはすべて税理士に任せていますので、どう準備をすればいいのか分かりません。また、調査が入ると必ず追徴課税されるという話も聞きますが、プロが正当に経理処理した決算でも、そんなに間違いがあるのでしょうか?
A:申請書類を再確認して必要に応じて税務調査に強い税理士に同席してもらう
税務調査とは、自らが申告した内容が正しいかどうかを、税務署が調査することです。税務調査が入る際には、基本的には事前通知があります。税務調査は、毎年法人のうちの6%程度に実施されています。
つまり、全体で見ると10年に1回くるかどうかという確率です。また、個人については100人に1人の割合で来るといわれています。ただし、これは会社の規模や内容、売上によって様々で、5年に1回入る会社もあれば、3年に1回入る会社もあります。新設法人で比較的多くの利益が出ている会社は、設立3年目に税務調査が入るケースが多いという説もあります。
いずれにせよ、いつかは調査が入るという認識で、正しい会計処理を心掛けるほかありません。また、昨今は不動産所得者への調査を強化する方針で調査対象が広がっています。これは、国全体としての税収不足という問題と今まで不動産所得者への調査がほとんど行われていなかったということを背景にしています。
調査を受けた会社の約7割が、誤りを指摘されるといわれています。しかし、脱税等の不正をしていなければまったく怖がる必要はありません。自分で対応するのに不安があるときは税理士に同席してもらい、税務署に対してきちんと説明をしてもらいましょう。
また、税理士でも不動産に詳しくない税理士や税務調査を経験したことのない税理士では心もとないものです。必要であれば不動産に精通し税務調査に強い税理士に同席をしてもらうことをおすすめいたします。
確定申告の内容・決算内容に問題がないか再度確認
短時間の調査で1年分(場合によっては過去3年分)の会計資料をチェックするわけですから、調査官もポイントを絞って見てきます。調査が入る連絡を受けたら、自分でも確認しておきましょう。また、一応顧問税理士に相談し、今までの確定申告の内容および決算の内容に問題ないか再度確認する必要があります。
1、売上の計上時期
売上の計上時期が間違っている、もしくは、操作されていないか確認されます。特にその期の決算で計上するべき売上が漏れていないかどうかは、重点的に見られるポイントです。
2、交際費
交際費が収益物件の活用と関係なく使われていないかは必ずチェックされます。収益物件の活用と関係のない経費についてのチェックが昨今厳しくなっていますので注意が必要です。税務署の認識では不動産所得者に交際費はあまり必要ないという認識なので、かかった費用についてはきちんと説明できる準備が必要です。
3、契約書類関係の整備
収益物件の活用においては、売買契約書、賃貸借契約書、管理委託契約書等諸々の契約書をチェックされます。必ず用意しておきましょう。たとえば、減価償却のもとになる土地と建物の価格割合については必ずチェックされるのできちんと説明できるようにしておくべきです。
4、売上の計上漏れ
売上の計上漏れは、その後のお金の流れも含めてチェックします。収益物件で多いのは滞納です。滞納は売上に計上する必要がありますが、これが漏れているケースが多いので注意が必要です。
5、人件費
身内の雇用についてチェックされます。勤務実態がない場合は、雇用関係を否認される場合もあります。