前回は、収益不動産所有者が税務調査の連絡を受けた際に、事前確認すべきポイントを解説しました。今回は、税務調査対策として日ごろから心がけたい、「証拠保存」について見ていきます。

調査官の主張に抗弁するには「証拠」が必要

税務調査はきちんと準備が必要です。

 

私が経験したケースでは、税理士が耐用年数を間違っていて9年で償却するべきところを3年で償却し申告していたために、そのミスを発見され、過少申告加算金(約10%)を徴収されてしまったケースがあります。このケースでは、通知が来た時点で再確認し誤りに気付けば、修正申告をすれば加算金が取られなかったのでもったいないケースです。ちなみにこの税理士は減価償却の計算方法も分かっていなかったようで改めて税理士の選定は重要になってくると考えさせられた一件です。

 

 

税務調査において、調査官の勝手な解釈で恣意的に追徴したりすることはできません。調査官が決算内容の誤りを指摘してきた場合は、どの法律に規定があるのか、どんな解釈で誤りだと言っているのかが極めて重要になります。そして、何より大切なのは、相手の主張に抗弁するには、それを証明する「証拠」が必要だということです。

収益物件との関連を疑われそうな費用には、メモ書きを

日ごろからこまめに、疑われそうな領収書にはその内容をメモ書きしたり、日誌をつけておくなどして証拠の保存を心掛けておくことが非常に大切です。特に収益物件の活用と関係ないと思われがちな、交際費、旅費交通費、福利厚生費などについては、注意が必要です。

 

● 誰と、何の目的で使ったのか(相手の名前や人数、内容を記録しておく)

 

● 私的活動との按分(車のガソリン代、旅行などは写真や領収書を残し、活動内容を記録しておく)

 

 

調査官も、確実な証拠を提示されれば否認できないのできちんと書類を整えておくということは大切です。

 

本連載は、2016年7月29日刊行の書籍『利益と節税効果を最大化するための収益物件活用Q&A50』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

本連載は情報の提供及び学習を主な目的としたものであり、著者独自の調査に基づいて執筆されています。実際の投資・経営(管理運営)の成功を保証するものではなく、本連載を参考にしたアパート事業は必ずご自身の責任と判断によって行ってください。本連載の内容に基づいて経営した結果については、著者および幻冬舎グループはいかなる責任も負いかねます。なお、本連載に記載されているデータや法令等は、いずれも執筆当時のものであり、今後、変更されることがあります。

利益と節税効果を最大化するための収益物件活用Q&A50

利益と節税効果を最大化するための収益物件活用Q&A50

大谷 義武

幻冬舎メディアコンサルティング

【物件選びから融資、管理、税務、売却まで「知らなかった」ノウハウが満載! 500棟6000戸を管理し入居率98%を実現してきた不動産のプロがワンランク上の知識とテクニックを全公開】 不動産投資のノウハウに関する情報は書籍…

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