前回に引き続き、減価償却費で赤字が膨らんでも「銀行融資」を受けられる理由を解説します。今回は、銀行の融資のルールを中心に見ていきます。

「検査マニュアル」により融資判断を行う金融機関

前回の続きです。

 

とはいえ、「やはり決算書が赤字では、銀行からの融資が難しくなるのでは……」と心配になる人もいるかもしれません。

 

 

金融機関は、金融庁の定めた検査マニュアルに基づいて融資の判断を行います。そして、そのルールに則って融資を実行しているかを金融庁が検査します。以下、金融庁のHPから、減価償却についての見解を紹介します。

返済能力に問題なければ「正常先」として判断される

(金融庁HP、検査マニュアルに対するよくある質問のQ&Aより)

 

【質問】減価償却費の負担により赤字となっているが、キャッシュフローは黒字であり、金融機関に約定どおり借入金を返済している中小企業については、債務者区分をどのように判断すればよいですか。

 

 

【答】減価償却費の負担により赤字となっている債務者については、債務者区分の判断に当たり、金融検査マニュアルに記載されている「キャッシュフローによる債務償還能力」に問題が生じるおそれがありますが、仮にそのような場合であっても、金融機関に約定どおり借入金を返済している中小企業については、例えば、減価償却を定率法で行っていることから、投資後初期の段階における減価償却費負担が大きいことが赤字の要因となっている場合や、金融機関への返済資金を代表者等から調達している場合なども考えられますので、金融機関において、「赤字の要因や返済状況、返済原資の状況を確認」することが必要であり、その上で、返済能力について特に問題がないと認められる債務者については、その債務者区分を「正常先」と判断して差し支えありません。

 

要するに、減価償却費を計上することで赤字になっている場合でも、キャッシュフロー等が黒字であれば、正常な経営を行っている企業として判断してよい、ということに金融庁がお墨付きを与えているわけです。減価償却による赤字は融資の際の問題にならないので、心配無用です。

本連載は、2016年7月29日刊行の書籍『利益と節税効果を最大化するための収益物件活用Q&A50』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

本連載は情報の提供及び学習を主な目的としたものであり、著者独自の調査に基づいて執筆されています。実際の投資・経営(管理運営)の成功を保証するものではなく、本連載を参考にしたアパート事業は必ずご自身の責任と判断によって行ってください。本連載の内容に基づいて経営した結果については、著者および幻冬舎グループはいかなる責任も負いかねます。なお、本連載に記載されているデータや法令等は、いずれも執筆当時のものであり、今後、変更されることがあります。

利益と節税効果を最大化するための収益物件活用Q&A50

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大谷 義武

幻冬舎メディアコンサルティング

【物件選びから融資、管理、税務、売却まで「知らなかった」ノウハウが満載! 500棟6000戸を管理し入居率98%を実現してきた不動産のプロがワンランク上の知識とテクニックを全公開】 不動産投資のノウハウに関する情報は書籍…

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