建物本体と付属設備を分けて「償却期間」を短縮
Q:建物と設備を分けるメリットは?
物件購入の際、建物の比率を高くすることで、減価償却の幅を大きくしましたが、さらに建物を本体(躯体部分)と付帯設備に分ける方法があると聞きました。本体(躯体部分)と設備を分けるメリットにはどのようなものがあるのでしょうか?
A:設備部分の償却期間を最短で3年まで短くでき節税効果が高まる
物件を購入する際、物件全体に占める建物比率を大きく取ることで、減価償却を多くすることができるのは、前述の通りです。
その効果をさらに大きくするのが、建物本体(躯体部分)と付帯設備(給湯器やエレベータなど)に分けて償却する方法です。付帯設備の耐用年数は15年と決められていますので、建物本体よりも短く償却が可能です。法定耐用年数(15年)を超えた部分は3年で償却が可能です。建物本体と分けることで、設備部分の償却期間を使って原価償却期間を「短く」できるのです。RC造の物件のように、建物本体の耐用年数が長い物件を購入した場合には特に有効です。
ちなみに、以前はこの3年が定率法で償却できたので、さらに効果が高かったのですが、平成28年より定率法が認められず定額法のみの償却となりました。それでも、3年で償却できれば効果は大きいといえます。
「設備の割合」は建物全体の1~2割程度が一般的
設備の割合としては建物全体の1~2割程度(エレベータがある場合などでは最大3割程度)が一般的ですが、物件に応じて設定する必要があります。
具体例として、建物価格1億円(うち設備価格2000万円)、築23年のRC造物件を見てみましょう。
築23年の物件なので、残りの減価償却期間は28年です。本体と設備を分けない場合は、年間の減価償却は357万円となります。
一方、本体と設備を分けると、当初の3年間は年約951万円もの償却費を計上することができます。2年目、3年目も同様の償却費となり、最初の3年間で合計2855万円もの償却が可能です。
このように建物本体と設備を分けることで、減価償却を短期で大きく取り、高い節税効果(繰り延べ効果)を得られます。ただし、このケースでは4年目以降の償却は建物本体の285万円となるので、4年目以降に限れば、本体と設備を分けない場合よりも節税効果は低くなります。