今回は、銀行の振り込み手数料が「同行・同支店」にも発生する理由を見ていきます。※本連載では、現場での実務経験豊富な経営コンサルタントである著者が、銀行交渉の成功事例、融資を受けるために知っておきたい銀行の内部事情などを紹介します。

「振込手数料の減額」は、支店長への交渉で実現可能

銀行は今や「手数料産業」である、
と言い続けています。
なのに、その手数料の交渉をしていない、
したことがない、という経営者が、
いまだにおられるのです。

 

銀行の振込手数料は、定価はあっても、固定ではありません。
まずもって、
“振込手数料って、下げれるんですか?”
という方が、意外に多いのに驚きます。
で、支店長にお声をかけて、交渉してもらいます。
“100円下がりました!”
“200円下がりました!”という結果をお聞きします。
多くの場合、支店長に交渉をして、ほどなく結果を得ています。
振込手数料の減額は、ある範囲までは、支店長決済なのです。
この、振込手数料の減額を、「減免措置」と言います。

 

“振込手数料を減免措置していただけませんか?”
と声をかければ、相手は驚くはずです。

支店内でのデータ処理だけで、手数料を取るなんて・・・

そもそも、この振込手数料そのものに、
もっと疑問を感じなければいけません。

 


まず、同行と他行に分かれています。
さらに同行は、同支店と他支店に分かれます。
このITシステムの時代に、同行内でもおかしいのに、
同行同支店で手数料がいるなんて、もっと不可解な話なのです。
支店内でのデータ処理をするだけで、手数料を取るなんて、
他業種では、考えられないのです。

 

同行同支店で手数料をとるようになったのは、
1991年ころから、と言われています。
発端は、広島銀行のATMです。

 

このころ、ATMが各銀行にどんどん導入されました。
ATMがない時代、銀行窓口は大混雑でした。
何をするにも窓口対応ですから、少し現金を引き出すだけでも、
かなりの順番待ちを強いられていました。
窓口対応の女性にも、職人芸の方々がいました。
記載伝票のチェックが早くて正確、
札を数えるのが早くて正確、
振込や納税の知識を幅広く持っておられる、などなど。

 

その様子を変えたのが、ATMでした。
しかし、最初は客も、ATMの操作が不安です。
なので、なかなか利用が進みませんでした。
そこで、他行への振込や、同行他支店への振込などについては、
窓口より若干安くするなど、インセンティブを付けました。
銀行も、ATMを利用してもらったほうが、助かるのです。
すると一気に、
ATMは、順番待ちを嫌がる顧客に、大歓迎されました。
今度は逆に、ATMにどんどん客が流れ込んでいきました。

 

そこに便乗して、
同行同支店でも振込手数料を発生させたのが、
先の広島銀行だったのです。
それまで、同行同支店の振込手数料は、なかったのです。
となると、銀行は横並び主義です。
全国の銀行が一斉に、同行同支店でも手数料を取る方向に、
舵を切ったのです。

言うなれば、ATM導入時の「便乗商法」の名残り

つまり、同行同支店の振込手数料は、便乗商法の賜物なのです。
それがいまだに、残っているのです。
その歴史を知る銀行員さえ、今は少なくなっています。
単に、それはいるものだ、と信じているのです。
“同行同支店の手数料はゼロにしてください。
 どうして同行同支店で手数料がいるんですか?
 その背景をご存知ですか?
 何ならお教えしましょうか?
 言ってみれば、ATM導入時の、便乗商法の名残りですよ。”
くらい、言ってやったらよいのです。

 

さらにもうひとつ、振込手数料には不思議があります。
振込金額3万円の壁、です。
なぜ3万円なのか?お分かりになりますか?
それは次回に、書かせていただきます。

本連載は、株式会社アイ・シー・オーコンサルティングの代表取締役・古山喜章氏のブログ『ICO 経営道場』から抜粋・再編集したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。ブログはこちらから⇒http://icoconsul.cocolog-nifty.com/blog/

経営者の財務力を一気に アップさせる本〔補訂版〕

経営者の財務力を一気に アップさせる本〔補訂版〕

古山 喜章,井上 和弘

東峰書房

数字が苦手な人にこそ読んで欲しい! 本書では、会社経営にまつわる数字を読み解き財務力をアップさせる方法を解説します。数字が苦手だからこそとことんわかりやすく理解する方法を見出した筆者。そのノウハウをお伝えし、経…

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録