今回は、銀行の振込手数料が「3万円以上」で上がる理由を見ていきます。※本連載では、現場での実務経験豊富な経営コンサルタントである著者が、銀行交渉の成功事例、融資を受けるために知っておきたい銀行の内部事情などを紹介します。

ATM導入以前から存在する「3万円の壁」

銀行は今や「手数料産業」である、
と言い続けています。
なのに、その手数料の交渉をしていない、
したことがない、という経営者が、
いまだにおられるのです。

 

銀行の振込手数料は、交渉すれば下げれます。
それを、手数料の「減免措置」、と言います。
と、申し上げました。併せて、
同行同支店の手数料は、ATM導入時の便乗商法です、
と申し上げました。
さらにもうひとつの、振込手数料の不思議は、
3万円の壁、です。

 

振込額が3万円以上になると、手数料が上がります。
今となっては、誰もが当然のごとくに受け入れています。
しかし、データ処理をしていて、
3万円以上で何か手間が増えるでしょうか?
入力のケタが増えるだけです。
それも、入力するのは、お客のほうです。

 

この、3万円の壁は、ATM導入以前から、存在します。
印紙税法の絡みです。
3万円以上の受取書や領収書には、収入印紙を貼れ!
という、あれです。
で、その理屈から、3万円の壁ができ、
ATM導入後にも、引き継がれました。
しかし、2014年に、収入印紙を貼る基準は、
5万円以上に変わりました。
先の理屈なら、3万円の壁のまま、というのは、おかしいのです。
一度やり始めたことは、簡単にはやめない、という、
銀行の悪しき習慣です。
担保や個人保証のスタンスと、何らかわらないのです。

「下げないなら、全部セブン銀行で振り込む!」

で、そもそも、印紙税が必要なのは、書面の文書の場合です。
印紙税法には、
「課税文書は、書面の文書だけをさし、電子文書は含まれない」
と明記されています。
ATMによるデータ処理のみで、
印紙税がかかるから、という理屈そのものが、おかしいのです。
銀行は、自分たちにとって良きことは、
都合のいいように解釈をし、なかなか変えようとしないのです。

 

ちなみに、セブン銀行での振込手数料には、
3万円の壁がありません。
セブン銀行あて 54円
他行あて   216円

と、いたってシンプルです。
無店舗型の銀行が伸びるのも、うなずけます。

 

自社の振込手数料を見てください。
「減免措置」を要求していなければ、
手数料は、定価のままです。
こちらから要求しない限り、そのままなのです。
“下げないなら、全部セブン銀行で振り込む!”
と言ったら、なんと答えるでしょうね。

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    本連載は、株式会社アイ・シー・オーコンサルティングの代表取締役・古山喜章氏のブログ『ICO 経営道場』から抜粋・再編集したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。ブログはこちらから⇒http://icoconsul.cocolog-nifty.com/blog/

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