前回は、利用者の「閉じこもり」を回避するために、あるケアハウスが行った取り組みを紹介しました。今回は、利用者に安心感のある暮らしを提供する「ケアハウス」の試みについて見ていきます。

社会貢献活動や防災訓練にも「利用者の意見」を反映

前回の続きです。

 

■Mission5/社会参加で利用者の生きがいをつくる!

 

ほかにも、施設内では、社会貢献の意識も高まっています。2011年の東日本大震災で被害にあった子どもたちのために、男性の利用者がお手玉を手づくりして寄付するようになりました。6年経った今でもお手玉づくりは続いていて、近隣の小学校との交流のきっかけともなりました。また、2016年に起こった熊本地震の際は「ケアハウス内で義援金を集められないか?」と利用者からの提案があり、義援金集めをしました。

 

防災意識も高く、年に2回の避難訓練を行っていますが、利用者の意見で、夜間を想定した訓練も実施しました。同時に利用者から「職員はヘルメットをかぶらなくていいのか?」と指摘を受けたことが、職員用ヘルメットの購入を検討するきっかけにもなりました。

 

一度、夜間に施設内で防犯ベルが鳴ってしまったことがあったのですが、その際も利用者同士で声かけをして、自主的に避難することができました。

世代の違う職員の気づきを共有し、日々の介護に生かす

現在、ケアハウスの職員は10人で、そのうち半数がパート職員です。職員の平均年齢は53歳ですが、20代の若い職員から60代の職員までほかの施設と比べて幅広い年齢の職員が働いています。なぜなら、さまざまな目線から利用者に接する必要があるからです。職員同士の気づきを共有することで、利用者に対してより細かな気づかいや心配りができていると思います。年齢の高い職員はこれまでの人生の中で得た経験や知識が豊富です。また、若い職員は常識にとらわれない自由な発想でいろいろなアイデアを出してくれます。

 

世代の違う職員同士、お互いにさまざまなことを学び、日々の介護に生かすことができています。

 

ケアハウスの中では、ともに暮らす利用者はもちろん、働いている介護職員も大切な「同居人」であり「家族」です。

 

互いのかかわりを強くし、お互いが見守り助け合う環境づくりが重要です。

 

これからも、介護職員が協力して利用者に「誰かがいる」「ひとりじゃない」という安心感のある暮らしを送ってもらえるように、さまざまな試みを続けていきます。

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