前回は、介護職員と利用者の「信頼関係」を深める方法を取り上げました。今回は、国も利用者も求めている「在宅医療・在宅介護」の流れについて見ていきます。

介護職員にも必要な「疾患・リハビリ・看取り」の知識

利用者は、身体の不調や疾患、不自由さをそれぞれ抱えています。疾患や身体機能についての専門的な知識を持ち、一人ひとりに合った介護を実現させることが求められます。

 

利用者の中には、認知症や脳・心臓疾患による片麻痺などを持っている人もいます。また、糖尿病などの持病がある人もいます。介護施設で働く介護職員は薬の知識や、緊急時の対応方法などの知識を持つことが必要です。

 

また介護老人保健施設や通所リハビリなどでは利用者のQOL(生活の質)を維持するため、リハビリを積極的に行います。そうした施設には、リハビリ担当の理学療法士や作業療法士などが配置されるため、介護職員もリハビリについての知識や、利用者のモチベーションの保ち方、さらには理学療法士、作業療法士、言語聴覚士などとの連携が求められます。また、通所介護(デイサービス)などでも介護職員がアクティビティの一環として、簡単なリハビリを取り入れる場合もあります。

 

同様に重篤な病に苦しむ利用者への緩和ケア、終末期を迎えた利用者への接し方や施設での看取りなどの知識も必要になります。

 

介護の現場でも、利用者やその家族から看取りを求められることが増え、看取りを行うことで加算がつくこともあるなど、介護業界全体で看取りは大きな課題となりつつあります。しかし、現状では、職員の経験・知識不足などにより看取り対応ができる施設とできない施設があります。どのような状況にも柔軟に対応できるよう、知識を蓄え準備をしておくことが大切です。

国は「在宅介護への移行」を目指している

施設での介護だけでなく、最近増加しているのが、在宅介護です。

 

厚生労働省は、今後ますます進むことが必至の少子高齢化対策のひとつとして、「地域包括ケアシステム」を推進しています。これは各市区町村が中心となり、高齢者が住み慣れた地域で「住まい」「医療」「介護」「生活支援・介護予防」を受けられるよう包括的に支援するというしくみです。今後急激に高齢者が増加するため、施設での介護を希望しても、それがかなわないという人が増えると予想されています。そのため、国は「介護施設での介護」から「在宅での介護」へと介護のありかたを移行しようとしているのです。

 

団塊の世代が高齢者となる2025年までに、この地域包括ケアシステムを実現するため、各市区町村が動きはじめていますが、介護サービスを受ける利用者からも「いまは施設で過ごすが、最後は自宅に戻りたい」「施設には入らずに自宅でできるサービスを利用し、最後まで自宅で過ごしたい」というように、自宅でサービスを受けたいという声が高まっています。こうした流れを受けて、施設で働く介護職員にとっても、在宅医療・在宅介護との連携は無視できないものになっています。

 

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