運転手・介護職員の2名体制で送迎し、乗り降りを介助
送迎対応は通所介護ならではの仕事です。時間もかかるため、なるべく効率的に行うことが求められるうえ、当然ですが、利用者の安全は必ず守らなくてはなりません。
私の法人の施設では、送迎にかかる時間は往復で3時間程度。
運転は一部業務委託の運転手が行っていますが、基本は介護職員が行います。運転手以外に介護職員もひとり添乗し、利用者の様子を見守り、乗り降りの際の介助を行います。
万全の体制を整え、十分注意をしていても、残念ながら事故は起こります。地域柄、非常に狭い道が多く、車1台がぎりぎり進めるような道を通らなければならないため、接触事故を起こすことが多いのです。
また送迎バスに乗っている時間が長いと利用者同士で言い争いになることもあります。そうした対応のために時間を要してしまい、到着時間がさらに遅くなる・・・。そんな負の連鎖が続いていました。
送迎の経路、注意すべき利用者の情報などを共有
なぜそんなアクシデントが起こってしまうのか? 原因を探ってみると、まずは、乗務員の連携ができていないことが考えられました。
利用者が通所介護に行くことを忘れていて乗り遅れてしまったり、「行きたくない」といって乗車拒否をしたりすることがありますが、その際は再度迎えに行かなければなりません。その対応の連携ができておらず、結果として送迎の時間が長くなってしまっていたのです。
そこで、送迎途中で起こった事故やアクシデントはすぐに事務所に報告し、電話で状況をやりとりしながら臨機応変に対応できるようにしました。
さらに、「交通安全委員会」を発足させ、送迎担当の運転手が毎日15時半からミーティングをするようにしました。当日の経路、注意すべき利用者の情報などを共有し、情報にもれがないようにしたのです。
またマニュアルの作成も行いました。マニュアルでは交通ルールの説明はもちろんのこと、送迎ルートの作成・見直しについても規定を設けています。
毎日の利用者の住所に合わせて効率のよいルートを割り出し、基本の送迎表を作成します。それに準じて送迎をするのですが、入院などの都合で利用者の休みが発生すると、一番効率のよいルートは変わります。
そのため、週に1回は送迎表を見直し、常に最新の状況を反映するようにこころがけました。
またルートの情報を共有をしたことで、特に注意が必要な道路や場所が把握でき、接触事故も減少しました。