目標は「大規模事業所でも満足してもらえる」サービス
事例:第1通所介護センター
大規模事業所でも満足度の高いサービスを提供したい!
●言葉づかいをよくする
●介護時の声かけを徹底する
●利用者の「ちょっとしたこと」をたくさん知る
●利用者には、ちょっと危ないことも含めて挑戦してもらう
第1通所介護センターは、常に50名以上の利用者が登録している大規模通所介護施設です。大規模事業所では、どうしても個別対応がおろそかになるという懸念があり、国も個別対応の充実をうたって小規模を推奨している傾向があります。そこで大規模事業所のデメリットをなくし、魅力ある通所介護にするにはどうしたらよいか分析しました。
まずは職員間で大規模通所介護と小規模通所介護の印象を一般論としてまとめてみると、小規模のほうが「職員との関係性がよい」「アットホーム」「手厚く対応してくれる」といったよいイメージがあるという結論になりました。そこで、大規模事業所であっても利用者に満足してもらえるサービスを提供することを目標に掲げ、サービス向上をはかることにしました。
小規模に比べてよいイメージが少なかったものの、実際には大規模事業所であっても、第1通所介護センターの利用者は増加していました。では、なぜ利用者から選ばれているのか、その理由を探ることが満足度の高いサービスのヒントになるのではないかと考え、全職員に「なぜ利用者が来てくれているのか」という質問をしました。
その結果、「職員が利用者一人ひとりをよく知っている」「口コミ」「食事がおいしい」「職員同士のコミュニケーションがとれている」という意見が出されました。このことから、事業所の雰囲気が満足度に直結しているということが見えてきたのです。
言葉づかい、声かけ…利用者への気遣いを徹底
よい雰囲気づくりを実現するために、7つの取り組みをはじめました。
●取り組み1/言葉づかいをよくするために、利用者を「様」づけで呼ぶ
丁寧な言葉づかいをすることは当然ですが、職員全員がすべての場面において、言葉づかいを完璧にすることはできません。そこで考えたのが、利用者を呼ぶ際には、名字に「様」をつけて呼ぶことです。「様」をつけて呼んだ後になれなれしい言葉で話すことは難しいため、自然と丁寧な言葉づかいになっていきました。
●取り組み2/職員同士の声かけを徹底して、利用者を気にかける
限られた人数の職員で大勢の利用者を介護するために「職員同士の声かけ」を徹底しています。たとえば「○○さん、今、トイレに入っておられます」「お風呂はあと、3名は入れます」「今から○○さんのリハビリを行います」という具合です。
職員同士が常に声をかけ合い、情報を共有して介護にあたることで、利用者を常に気にかけることができるようになりました。
●取り組み3/事故を起こさないように、すべての介助動作を口に出し利用者に伝える
利用者にとって、自分が今どんな状況なのかわからないまま介護されるのは非常に不安なことです。介助動作ひとつにも、何のために何をするか利用者に納得してもらうことが欠かせません。たとえば「車いすを動かします」「今からお風呂に入ります、こちらに手すりがあるのでつかまってくださいね」などのように、介助動作すべてを口に出して伝えることを徹底すれば、利用者も安心でき、協力動作も得られ、事故防止にもつながります。
また自分の言葉と動作を一致させることで、職員も目的を意識した動作ができるようになり、いい加減な介護にならないようにすることができます。