前回は、在宅に近い環境で生活を支援する「グループホーム」の役割について取り上げました。今回は、「通所系サービス」を提供する介護施設の工夫を見ていきます。

利用者の目的、通所頻度はさまざま

通所介護は、要支援・要介護認定を受けた高齢者に日帰りで通ってもらい、入浴、食事、機能訓練、アクティビティなどのサービスを提供する施設で、高齢者同士の交流の場にもなっています。

 

一方通所リハビリは、病院や介護老人保健施設に併設されていることが多く、作業療法士、理学療法士などの指導で心身機能の維持・回復を行う施設です。通所介護と異なり、主にリハビリを行う施設になります。

 

通所介護・通所リハビリには、毎日欠かさず来る人もいれば、週に一度しか利用しないという人もいます。

 

また、サービスを楽しみに通う人もいれば、家族の事情でやむを得ず通ってくる人もいて、目的も頻度も、さまざまです。

工夫をこらした食事・アクティビティを提供

入所系のサービスであれば、利用者との関係は長く続きますが、通所系のサービスの場合、利用者に楽しみを見出してもらえなければ、通い続けてもらうことはできません。多くの人に楽しんでもらうために、通所介護では食事やアクティビティなどで工夫をこらすことが必要です。たとえば自宅では食べられないような特別な食事を提供したり、絵画や書道、音楽鑑賞など多種多様なアクティビティを実施したりします。

 

そのために、利用者それぞれの「生活歴」を把握して、どのような対応をすれば喜んでもらえるのか、考えていかなければなりません。

 

また、通う頻度が人によって異なるということにも注意が必要です。決まった曜日に決まったアクティビティを行っていると、決まった曜日に通ってくる利用者はほかのアクティビティに参加することができず、同じアクティビティばかりになってしまいます。かといって1週間ずっと同じメニューを提供すると、毎日来ている人が飽きてしまいます。実施する曜日や週を固定せず、まんべんなく多くの利用者が参加できるように配慮する必要があるでしょう。

 

通所系の施設では、自宅と施設の間の送迎が必要になります。

 

送迎の時間は、利用者や家族とコミュニケーションをとることができる貴重な時間です。乗車している利用者の顔色はどうか、何か不満や要望、悩みはないかなど、積極的に話しかけて利用者の状態を把握します。

 

送迎の際、家族と顔を合わせたら、家族が疲れた様子をしていないか、何かトラブル・悩みを抱えていないかなどを注意してみるようにします。もしも気になる点があれば、ケアマネジャーや上司と相談しながら対応策を考えましょう。

 

[図表]通所介護のタイムスケジュール

本連載は、2017年8月26日刊行の書籍『利用者満足度100%を実現する 介護サービス実践マニュアル』から抜粋したものです。

利用者満足度100%を実現する 介護サービス実践マニュアル

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山田 俊郎

幻冬舎メディアコンサルティング

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