今回は、銀行との融資交渉にあたって見逃せない「支店のランク」について取り上げます。※本連載では、現場での実務経験豊富な経営コンサルタントである著者が、銀行交渉の成功事例、融資を受けるために知っておきたい銀行の内部事情などを紹介します。

「規模の小さい会社にはムリ」は思い込み!?

前回の続きです。

 

個人保証を外してもらうことを発端に、
始まった今回の銀行交渉を振り返ってみます。
終わって見れば、
・担保・個人保証なし
・金利はタイボ+スプレッド
の条件におさまりました。

 

今回の交渉に登場した会社は、
ある地方の、年商5億円未満の中小企業です。
それでも、担保・個人保証なし、金利はタイボ+スプレッドに、
できるのです。
「規模の小さい会社にはムリ」
「上場していないとムリ」
「都会の会社でないとムリ」
といった思い込みは、誤っているのです。
そのように、銀行から思いこまされてきた、だけなのです。

 

今回の支店長も、
“個人保証と担保をなしにできるのは、上場企業だけですよ。”
と、言っていました。
銀行員は、自分を守るためなら、平気でウソを言うのです。
いくらなんでも、上場企業だけでないことくらいは、
その支店長も、わかっていたはずです。

旗艦店とそれ以外にわかれる銀行の各支店

ただ、支店長にも、ランクがあります。
“どうぞ財務局に聞いてください。”
と、その支店長は言いました。
これはおそらく、強気ではなく、単なる無知、
だったと思われます。
その後の態度の豹変ぶりからして、わかっていれば、
そんな怖いもの知らずの発言をしなかっただろう、と思うからです。
後日、たまたまその銀行の別部門の方にお会いする機会がありました。
“おたくの○○支店は、支店のランクとしては、どのあたりですか?”
“あそこはですねぇ、私どもの中では、一番低いランクですね。”
とのことでした。
つまり、そこに赴任する支店長も、
支店長としては、ランクが低い、ということなのです。
銀行の各支店は、旗艦店とそれ以外、にわかれます。
旗艦店は、ビジネス街の中心地です。
取引額も大きく、トップクラスの支店長が赴任します。
それ以外の支店は、あちらこちらに点在しますが、そこにも、
上・中・下のランクがあります。
今回の支店は、それ以外の、「下」のランクだったのです。
ランクが低い、レベルが低い支店の支店長ほど、
勉強不足で、何もわかっていないのです。
だから、平気でウソやありえないことも言うし、
自ら地雷を踏むような発言を、してしまうのです。

 

もうひとつ、知っておいてほしいのは、今回の財務局の対応です。
彼らは中小企業の生の声を、喜んで聞いてくれます。
実態の声を集めることが、彼らに課せられたミッションなのです。
で、クレームとして、即座にデータ化され、銀行に伝えられます。
しかも、該当の支店長は、クレーム対応報告書を、
財務局に提出しなければなりません。
そうなれば、銀行員としての評価に、大きな汚点が残ります。
銀行では、プラス評価はその年度限りで消えます。
が、マイナス評価の烙印は、一生ものとして、ついてまわるのです。
だから、
“財務局に聞いてみます。”
“金融庁にたずねてみます。”
と言っただけで、“ちょっ、ちょっと待ってください!!”
となるのです。

 

今回の交渉を参考事例として、
銀行から言われるがままにならず、
自社に有利な条件での融資を、獲得してほしいのです。

本連載は、株式会社アイ・シー・オーコンサルティングの代表取締役・古山喜章氏のブログ『ICO 経営道場』から抜粋・再編集したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。ブログはこちらから⇒http://icoconsul.cocolog-nifty.com/blog/

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