支援法を意識した「事業再生計画書」を作成
事業再生の第一歩は、経営者が会社の経営状況や出ていくお金の流れを、きちんと把握できるようになることです。自分の会社の経営状況を把握することができなければ、本当に効果のある事業再生は実行できません。
そのベースができたうえで、いよいよ、具体的にあなたの会社の事業をどのようにして立て直すのか、事業再生計画を立てることになります。つまり、「入ってくるお金」をどうやって増やすか、ということに注目していくわけです。
事業再生計画とは、自社が抱える問題点の洗い出しを行い、財務計画も含めて具体的な改善策を明らかにするものです。その目的は大きくわけて、
1.事業の継続
2.金融取引の正常化
の2つになります。
これを達成しなければ、会社が自転車操業から脱出し、安定的な黒字化を達成することはできません。
よく「事業再生計画書」というと、「将来どうなるかわからないのに、そんな未来の戦略を立てても意味がない」と考える方がいます。しかし、それは大きな間違いです。
事業再生計画書は、未来の予測ではありません。「将来自分の会社をどうしていくか」という意思表明をするものなのです。明確に意思を表明し、実現のためにはどうすればよいか道筋を立てて、会社をよくするストーリーを編み出していくために、計画書は欠かせません。
助成金・補助金を活用するために「実抜計画」を準備
赤字企業が黒字化を目指そうとするなら、自社の経営努力はもちろんのこと、金融機関の協力を仰いだり、国からの助成金・補助金を活用することが有効です。
たとえば事業再生にあたって、金融機関に、
「既存の借入について利息や返済条件を見直してほしい」
「新規の貸し付けをどうしても受けたい」
と申し入れたところで、会社は赤字企業で、しかも自転車操業状態であれば、当然こうした申し入れを受け入れてもらうのは簡単ではありません。
そんな場合に大きな意味を持ってくるのが、この実現可能な抜本的な計画、いわゆる「実抜計画」です。
現代は「将来性」や、やる気を担保にできる時代となってきています。金融機関にあなたの会社の可能性や将来性を認めてもらうための材料こそが、この事業再生計画書なのです。
ここでいう計画とは、これまでに取り組んでこなかった内容を織り込んでいることを意味します。そこでは未来志向で、かつ惰性による取り組みではない「実現可能性の高い」計画書であることが求められているのです。
金融庁の「貸出条件緩和債権関係Q&A」にはこのように記されています。
1.計画の実現に必要な関係者との同意が得られていること
2.計画における債権放棄などの支援の額が確定しており、当該計画を超える追加的支援が必要と見込まれる状況でないこと
3.計画における売上高、費用及び利益の予測等の想定が十分に厳しいものとなっていること
「実現可能性の高い」とは、もちろん計画が現実になるという意味です。いくらやる気が担保になるとはいえ、対外的な計画書にはこれらの要素が十分盛り込まれていることが必要になります。また、いくら計画に具体性があっても、細かな段取りがなければ計画は進んでいきません。
計画の達成に向けて、このようなアクションを行うという具体策も織り込む必要がありますから、次に行うべきは作成した事業再生計画書の内容をもとにして、具体的な行動計画であるアクションプランを立てていくことなのです。
もちろん、これを自分自身の力だけでつくろうとするのは至難の業です。専門家の力を借りながら、作成をしていきます。
この話は次回に続きます。