前回に引き続き、数値計画に合致した「行動計画」を策定する方法を見ていきます。今回は、原材料・仕入れコストを下げる方法なども併せて説明します。

大量仕入れなどを駆使し、仕入れコストを下げる

②原材料・仕入れコストを下げる

販売価格を上げなくても、原材料や仕入れなどのコストを削減できれば付加価値は大きくなります。

 

もちろんコストを削減して、品質を下げては元も子もありません。他社よりも品質のよい製品を生産し続けることのできる技術を確保し、さらには大量仕入れを検討したり、より安い仕入れ先を探したりする方法があります。

 

現在の仕入れ先を今一度洗い出し、新たな仕入れ先を探します。さらに相見積もりをとってコストを下げる方法がないか、検討してみましょう。

独自性を上げても付加価値が上がらない場合は・・・

③労働生産性を上げる

製造業であれば、生産設備や技術力など、あらゆる面で付加価値を高めていくことが可能です。一方、商社やサービス業は、いくら独自性を上げたとしてもなかなか付加価値を大きく上げることは難しいものです。

 

そういった場合は、付加価値ではなく労働生産性を高めるという考え方の方がやりやすい場合があります。労働生産性とは、1人あたりの付加価値を見る指標です。

 

[図表1]労働生産性

 

最低限の数値の把握が十全になったところで、もう一歩進んで押さえたい数値があります。それが「労働生産性」です。労働生産性が高いほど、従業員1人あたりが生み出す付加価値が高いことになります。労働生産性とは従業員の生産性を見る指標なのです。

 

ここでの「付加価値」とは売上から仕入れ代金、外注費、材料費などを引いた値を示します。付加価値とは、皆さんの会社が新たに生み出した価値のことであり、これはまさにあなたの会社の強みに直結するものとなります。

 

たとえば、衣料品を製造する会社が、生地は自社で調達、裁断は外注、縫製は社内で行って出荷した場合、売上から生地代金と外注費を引いたものが「付加価値」となるのです。

 

もちろん業種によってこの労働生産性の基準は異なってきます。飲食業、小売業などは仕入れ額が多く外部調達費が大きくなる傾向がありますので、平均的に低い値になります。したがって、他社との比較はなかなか難しいのですが、業種別の平均値を参考にしてみるのがよいでしょう。

 

私の所属している税理士のネットワークTKCでは、同業他社の経営成績を比較できるTKC経営指標(BAST)を提供しています。この指標はTKC会員が毎月継続して実施した巡回監査と月次決算により作成された会計帳簿を基礎として、そこから誘導された決算書を収録データとしています。

 

これだけの精度と速報性を持つ中小企業指標は、世界的にも類例がなく、税務当局や、金融機関等から高く評価されています。このデータを活用するには、TKC会員の税理士事務所と契約を結ぶことです。同業他社比較データの提供を受けることが容易になります。

 

[図表2]付加価値

 

[図表3]中小企業の労働生産性の基準

本連載は、2017年3月23日刊行の書籍『「万年自転車操業」の会社を「万年安定経営」に変える方法 』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

「万年自転車操業」の会社を「万年安定経営」に変える方法

「万年自転車操業」の会社を「万年安定経営」に変える方法

小林 優一

幻冬舎メディアコンサルティング

リーマンショック、アベノミクスを経た現在でも、中小企業は生き残りをかけた厳しい時代を迎えています。このまま手をこまねいていれば倒産・廃業を回避することはできません。しかし、多くの零細企業経営者・個人事業主は、何…

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