どこからどれだけ、どんな金利で借入しているか?
経営者自身が数字に強くなれば、経費の扱い方以外にも会社のお金の流れや数字のなかに新たな「気づき」が生まれるはずです。たとえば、
●ずっと残っている売掛金のうち、回収できる見込みが乏しいものはありませんか?
●減価償却できるはずのものをそのままにして、資産計上していることはありませんか?
●率の高い金利のままで残っている借入金はありませんか?
こうした財務上の負の部分は、どうしても処理を後回しにしがちです。しかし、会社の数字がクリアに見えるようになれば、それらの問題点は否応なく解決しなければならないものとして明らかになってくるはずです。自転車操業や債務超過の過去と決別するためにも、やはりこの段階で一斉に見直しをし、適切な処理をしておくことをおすすめします。
金融機関とは末永くつきあう前提で無理のない交渉を
金融機関からの借入部分を見直すことも必要です。古くからの借入金の場合、年利2%前後と高いことも多く、それが自転車操業の大きな要因になっていることもあります。
マイナス金利の今日では、借入に際して以前よりも好条件になっていることもあり、利率も1%を下回るケースも見られるので、借り替えを行うなどの対策は必須です。たとえ会社の経営状況が悪く、今すぐに借り替えができなかったとしても、今後のタスクとして、どこから、どれだけ、どんな利息で借入をしているのか、きちんと把握しておくことが肝心です。
しかし、高い金利の借入金を見直すことは必要なことですが、何度も複数の金融機関に金利の数字を出させ、利息の値下げ交渉を繰り返してはいけません。
税理士の中には、金融機関に無理に金利競争をさせ、「どうです。私のアドバイスのおかげで利息が安くなったでしょう」と自慢げに語る先生もおられます。経営者の方にも、金融機関に対して「金利を値下げしなかったら、預金を引き揚げるぞ!」と厳しいことを言われる方もいます。
しかしこれは得策ではありません。金融機関も営利企業ですし、借入の書類を一つつくるにも、多くの方が関わっています。つまり、人件費がかかっているのです。金融機関は経営者の大事なパートナーであるということを忘れてはなりません。無理難題を押しつけて、いざという時にソッポを向かれてしまっては本末転倒です。金融機関とは末永くおつきあいすることを前提に、交渉をしてみましょう。