前回は、インターンシップの学生に「補助金申請」を任せるメリットを紹介しました。今回は、インターンシップの活用で企業の経営革新まで可能な理由を見ていきます。

中小企業の命運は「補助金」が握っている!?

助成金をもらうためにはまず、人材育成、コスト管理のマネジメントの向上や設備投資など、経営力を向上させるための取り組みを記載した事業計画書を作成し、申請するところから始めます。

 

認定を受けたら、機械や装置の固定資産税の軽減(資本金1億円以下の会社などを対象、3年間半減)や金融支援(低利融資、債務保証など)といった特例措置を受けられます。「ものづくり補助金」といった国からの援助だけでなく、地方自治体も既存または新規事業に対する補助金や人材確保のための支援金、もしくは「ものづくりマイスター制度」のような技術者育成プログラムなど、数多くのバックアップがある。

 

助成金を得るには、新規事業に対してどれだけの経営資源(ヒト・モノ・カネ)を投入するのかを明確にするのもポイントになります。何よりも意図的にそれらの経営資源を投入し"動かす"ことです。具体的には、今後狙おうとしているマーケットに詳しい人材を新しく採用する、もしくは新規事業開発専属のプロジェクトを立ち上げて環境を整えること。

 

支援にはどういう種類のものがあって、どうすれば利用できるのか。それを調べ、申請手続きをして活用するところまですべて学生が担当しました。地元の商工会議所や無料相談所もあり、中小企業診断士も窓口にいます。そこへ足を運んで補助金の情報を取ってくる。一般社員が動くよりも20代の若者がこんなに積極的に進めているというのも、担当者の印象に残るわけです。

 

この成功メソッドに気づいたのは一人で営業活動をしていたころ、さまざまなジャンルの組織や協会に所属したときです。そこで「世の中には実にたくさんの補助金のシステムがある」と気づいたのです。これを賢く使えるかどうかが中小企業の命運を分けるといってもいいでしょう。

高評価を得た学生による支援金獲得のプレゼン

アメリカの大手投資会社も、インターンシップ支援事業を行っており、インターンシップを受け入れる企業に対して一社あたり40万円の資金援助をしています。この制度が始まったのは2014年8月。地域の中小企業と、やる気のある若手を支援するというCSR活動なので、利益を求めていません。エントリーは40社ほどでそのうち数社が支援金をもらえる。そのためには、プレゼンで勝ち取らなくてはいけない。

 

この投資会社の支援金は2回獲得しました。

 

プレゼン内容は支援金を使ってどんな事業を展開するか。他の会社では社長が登壇し、自分たちの事業を説明していますが、私の会社では社長が行かずに学生がテント事業の説明をしています。

 

学生なのに、何を聞かれても答えられる。競合相手の社長を負かすくらいの完璧なプレゼンをするのです。社長でなくあえて学生が登壇し、彼らの視点で、自社の強み、経営者の面白いところや会社の将来性、それに対して学生がどう関わっていくのかを明確にする。さらには「なぜ丸八テントに学生が集まるのか」について話す。

 

実際にインターンのあとにアルバイトとして長く働いている学生が話すことなので、説得力があったのでしょう。審査員の方々に高く評価され、支援金を獲得できました。

 

3回目も出場する予定ですが支援金を得る権利は2回といわれているので、別枠の成功事例発表のため参加します。イベントを活性化するという意味合いで、「学生の人材活用術を全国の中小企業に発表してほしい」と投資会社の担当者からオファーがきたのです。

 

なぜそんな依頼があったかというと、私の会社がこの投資会社のプロジェクトに対して本質を理解する唯一の企業だったからだそうです。

 

そもそも、プレゼンの目的は経営革新です。「社長が変える」「社長が変わる」ことから経営革新は始まるのだと理解してもらうことでした。

 

しかし、ほとんどの企業は支援金を狙っているだけでした。プロジェクトの本質とマッチしている私たちのインターンシップ活用方法を、他の中小企業にも具体的に伝えて意識を変えてほしいという依頼だったのです。

 

このプレゼンの審査員は投資家です。彼らは「これから伸びる会社はどこか」を見ています。私の会社は、その場所で成功事例としてプレゼンをしたのです。地方の中小企業でありながら、外資系投資会社主宰の大舞台に立ったことで、注目度は高まりました。

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    本連載は、2016年11月12日刊行の書籍『事業拡大を実現する中小企業のための「長期インターン」活用戦略』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

    事業拡大を実現する中小企業のための「長期インターン」活用戦略

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    佐藤 均

    幻冬舎メディアコンサルティング

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