学生同士がつなぐ海外企業との「ウィンウィン」な関係
前回の続きです。
このように、海外とのつながりが出てきたことで、私の会社は新しい事業をスタートさせることができました。それが「ミチカラプロジェクト」です。
ミチカラプロジェクトは、インドをはじめ諸外国から、日本語をある程度話せる人材を技能実習生として受け入れることをコンセプトとして立ち上げました。
このプロジェクトの背景には、中小企業が海外進出や海外人材を雇用したいと思っても自社だけでは人材不足や資金不足などの理由からそれができないケースが多いことがあげられます。また、海外の人材が持つ語学力やPCスキルの高さは国内企業から注目度が高いことも理由のひとつです。
現在は主に日本とインドとの間でやり取りをしており、それぞれにメリットがあるビジネスモデルをつくりました。
日本側のメリットとしては、日本の企業に高いスキルを持ち、日本語を話せる海外人材を派遣・紹介することで業績アップに貢献するというものです。一方、インドにとってのメリットは大学やビジネススクール、人材派遣会社などで人材を確保することができる点です。
私の会社では現在、インドの大学と共同で日本語の授業を設け、インド人に日本語を教え実習生候補を育成するチャレンジを行っています。
インドの学生に日本語を教えているのは、英語が堪能なスーパー大学生たちです。週に一度、スカイプによる通話でレッスンを行うほか、普段インドの学生が勉強するための教科書をつくり、教材として提供しています。このように、インドの学生を育て、将来的に日本の企業にアテンドしていくわけです。
コンサルタントを雇えない中小企業に学生のアイデアを
日本企業への提案の流れは、まずヒアリングです。1、2回程度のヒアリングを行い、その企業の現状、課題点、要望などをうかがいます。そのうえで、提案書を作成し、課題解決のための施策を提案、実行するのです。このときのアイデアはM君が中心となり、私の会社にいるインターン生全員で出し合います。こうして学生たちの力で企業がかかえる課題を解決するという仕組みができあがりました。
このミチカラプロジェクトには大きな可能性があると思っています。単に海外の人材を国内の企業に斡旋するだけでなく、単純に新規事業に取り組みたい、現状の業務を効率化させたいなどの課題の解決についても取り組んでいます。
たとえば、私の会社がある補助金の申請について商工会議所に相談をしていたところ、担当者から「業績不振で困っている経営者を助けてあげてくれないか」という相談を受けたのです。その企業は町の小さな旅行代理店で、ホームページを見てみるとデザインは古く、コンテンツも充実していません。しかし、ミチカラプロジェクトであれば解決できるかもしれないと思い、その申し出を受けることにしたのです。
学生たちは早速その旅行代理店にヒアリングを開始し、どうすればこの代理店の集客力が向上するかを議論しました。なんどもヒアリングと提案を繰り返し、ホームページの刷新と魅力的なツアープランを企画することに決まり、学生ならではの柔軟な発想で「手ぶらで行く海外ツアー」などいくつもの提案をしました。
地方の中小企業はコンサルタントを雇おうと思っても、なかなか資金を捻出することができません。私の会社のミチカラプロジェクトはまだ立ち上げたばかりなので、明確に料金設定をしていないのですが、大企業のようにコンサルティングや新規事業の立ち上げに多くの予算を使えない中小企業の力となることで、私の会社全体の認知度があがり、めぐりめぐって結果はついてくるものだと確信しています。
このように長期インターンシップに参加した学生たちが、将来事業の柱になりそうなプロジェクトを立ち上げてくれました。経営者がなんとなく描いていた「こういうことをしてみたい」という思いを、スーパー大学生たちは形にしてくれるのです。
[図表]ミチカラプロジェクト