完成前に販売される「プレビルド」物件購入時の注意点
物件の見学と言っても、現地で実際に購入する物件が見られるとは限りません。新興国の新築コンドミニアムの場合、完成前にセールスをするプレビルドと呼ばれる手法が一般的だからです。
プレビルド物件の場合、建物は完成予想の模型でしか確認できないことが普通です。すでに建設が始まっているものであっても、物件を外部から見るだけで最終的な建物のクオリティについてはでき上がってみないとわからないというリスクがあります。
また、資金繰りに余裕のない中小のデベロッパーが手がける物件の場合、資金不足から建設が途中で止まってしまうこともあります。実際、カンボジアのプノンペンにはリーマンショックの影響でいまだに工事が中断している建物が存在します。このような物件に投資をしてしまうと資金回収さえできなくなってしまいます。工事が中断しなくても、デベロッパーの施工能力が低いと工事が大幅に遅れ、想定していた賃料収入が得られないケースも出てきます。
また、「誰が造ったか」によって品質や将来の価値にもバラツキが生じてきます。粗悪な物件をつかまされないためにも、デベロッパーの選択は非常に重要です。
デベロッパーの情報は現地の販売会社から入手
デベロッパーの選択基準として、これまでに開発した物件の件数、販売金額、実際に完成した物件を見るなど、過去の竣工実績の他、上場しているか、法人の国籍、活動している国・地域など会社の規模や概要、創業者の経歴や現地でのステイタスなど、会社の歴史などから総合的に判断することが大切です。これらの情報は現地の販売会社に問い合わせれば教えてもらえます。
完成した物件や、中古物件を購入する場合は実際の物件を見ることができますが、わずか数時間で建築に対する深い知識のない人間が建物をチェックしても、瑕か疵しがあるかどうかをなかなか見抜けるものではありません。
建物の細かい造作のチェックは、専門の業者によるインスペクション(物件調査)を利用して確認をしてもらうのがいいでしょう。むしろ、確認すべきことは周辺の環境や、住んでいる人たちのプロフィールといった物件の周りの環境です。また、すでに完成したコンドミニアムであれば、窓からの眺望、管理や清掃の状況もチェックポイントになるでしょう。
不動産は物件の立地が大きく価値に影響します。通りをひとつ隔てただけでも物件価値に大きな差が出ることもあるのです。現地に行って実際に周辺の環境をチェックすることで、日本で地図を見ているだけでは見えない情報が得られます。これから建物が建てられるような物件であっても、周囲の類似物件の価格や賃貸料の水準をチェックすることによって価格の妥当性を推測することができます。不動産は需要と供給によって価格が変化しますから、周辺の競争環境を見ることが投資判断に役立つのです。