今回は、投資物件として選ぶ場合、「ファミリータイプ」と「ワンルーム」ではどちらが儲かるのかを見ていきます。※本連載では、キャピタリー・アドバイザリー株式会社不動産投資部長 和田一人氏の著書『儲かる不動産投資の教科書』(扶桑社)の中から一部を抜粋し、本当に価値のある不動産を見分ける理論的な評価方法を、初心者でもわかりやすい事例を紹介しながら、その根拠となる評価基準を解説します。

「賃料単価」の違いに注目する

2LDKや3LDKといった間取りのファミリータイプは入居者の定着率が相対的に高いのに対し、単身者向けのワンルームは頻繁に退去者が出ると言われています。

 

実際、ファミリータイプの平均入居期間が4〜6年であるのに対し、ワンルームは2〜4年です。ワンルームの入居者が契約を何度も更新するというパターンはなかなか見込めないということでしょう。

 

その一方で、ファミリータイプは空室期間が長期化しやすいとか、ワンルームは需要が大きいのですぐに新たな入居者が見つかるとかいった指摘があるのも確かです。

 

結局はどちらも一長一短であり、簡単にはシロクロつけられないように思われるわけです。

 

そこで、「賃料単価」の違いに注目してみましょう。第2回でも出てきましたが、賃料を「貸床面積」で割った数値です。

 

当然ながら、ファミリータイプは部屋数が多いので「貸床面積」が大きくなり、月額賃料も高くなります。ところが、むしろ「賃料単価」はワンルームよりも低くなる傾向がうかがえます。

ワンルームのほうが「ネット利回り」が高くなりがち

通常、ワンルーム1戸当たりの専有面積は18〜25平方メートルが平均的な数値ですが、ファミリータイプは3LDKの場合で70〜80平方メートルに達します。単純計算しても、ファミリー1世帯に貸し出すスペースで3部屋のワンルームを供給できることになります。

 

つまり、ワンルームのほうが限られたスペースをより多くの人たちに貸せるので、「賃料単価=床面積当たりの稼ぐ力」がファミリータイプよりも勝っているケースが多くなってくるのです。

 

また、ファミリータイプは共用部分がワンルームよりも豪華で広いことが多く、その分だけ建物全体の面積に対して「貸床面積=お金を稼いでくれる部分の面積」が占めるウエートが低くなります。そして、その分だけ共用部分の清掃にも手間がかかり、電気代などのコスト負担も多くなります。

 

こうしたことから、「表面利回り」が同じであっても、ワンルームのほうがファミリータイプよりも「ネット利回り」が高くなりがちです。ワンルームのほうが儲かりやすいという結論に達するわけです。

 

[Point!]

同じ表面利回りでもワンルームのほうが「ネット利回り」が高くなる!

本連載は、2016年2月刊行の書籍『儲かる不動産の教科書』から抜粋したものです。その後の法律、税制改正等、最新の内容には対応していない場合もございますので、あらかじめご了承ください。

儲かる不動産投資の教科書

儲かる不動産投資の教科書

和田 一人

扶桑社

新築物件VS中古物件、RCマンションVS木造アパート、ファミリータイプVSワンルーム、オフィスVSレジデンス、固定金利VS変動金利…。本当に儲かるのはどっち? 真のプロだけが知っている、本当に価値ある投資物件の見分け方を伝…

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