金融機関は利回り以上に「積算価格」を重視
物件の価格が妥当かどうかを判断するモノサシの1つとして、「積算価格」と呼ばれるものがあります。ごく手短に説明すると、土地と建物それぞれの現状の価値を査定したうえで合算した価格のことです。
土地については、国税庁が発表している路線価や国土交通省の公示価格をもとに推定します。一方、建物は再び新築した場合の価格をベースとしたうえで、それに「残価率(築年数に応じた残存価値)」乗じて算出します。
金融機関が融資額の評価を行う際には、利回り以上に「積算価格」を重視していると言われますが、だからといって高ければ高いほど好ましいというわけではありません。
というのも、立地条件などが同じような物件でありながら「積算価格」が高いものは、低いものよりもコスト負担が重い可能性が高いからです。
買付書を入れる前に「ネット利回り」の計算を
土地に対する評価がほぼ同等だとすれば、「積算価格」の差を生むのは建物の部分です。つまり、「積算価格」が高い物件は「建物の価格も高い」ということになるわけです。建物の価格が高いということは、必然的に建物の固定資産税、都市計画税も高くなります。
また、購入後に軽視できないコストとなる修繕費は、建物価格に比例して高くなるもの。「積算価格」が高いと、その負担が重くなることを覚悟したほうがよさそうです。
したがって、「表面利回り」が同じ水準だったとしても、「積算価格」が高い物件は低いものよりも「ネット利回り」が低くなってしまいます。
もしも、「積算価格」が高くて、表面利回りもより高い物件があったとしたら(相当高くないと割に合いませんが)、話はまた別となってきます。
コスト分を考慮しながら「ネット利回り」を算出しても、それなりに高めの水準を保つ可能性が高いと言えます。買付書を入れる前に、きちんと「ネット利回り」を計算することが大事なのです。
もっとも、そのような掘り出し物はまず見つからないのがシビアな現実です。誰もが飛びつきそうな物件にはそれなりの価格がつけられ、それに応じて利回りも低くなるのが宿命ですから。
[Point!]
表面利回りが同じなら、積算価格が低い物件のほうがネット利回りは高くなる!