今回は、不動産投資のローンでは「固定金利」と「変動金利」のどちらを選ぶべきなのかを見ていきます。※本連載では、キャピタリー・アドバイザリー株式会社不動産投資部長 和田一人氏の著書『儲かる不動産投資の教科書』(扶桑社)の中から一部を抜粋し、本当に価値のある不動産を見分ける理論的な評価方法を、初心者でもわかりやすい事例を紹介しながら、その根拠となる評価基準を解説します。

日本の状況を考えると、今後も大幅な金利上昇はない!?

正直に打ち明けると、これまでビジネスとして不動産投資を行ってきた中では、あれこれ悩んだ挙げ句、結局は変動金利のローンばかりを選択してきたというのが実情です。

 

要するに、金利の先行きを予想するのは困難なのです。

 

先々で金利が上昇していくと思えば、固定金利のローンを選択するのが賢明です。なぜなら、足元の水準で固定されたまま、期間満了までその金利がずっと適用されるからです。

 

これに対し、金利が将来的に下がっていくと予想するなら、折々の情勢に応じて随時見直されていく変動金利を選ぶのが定石となります。もっとも、すでに超低金利となって久しい日本で、さらに下の水準をめざしていくという展開は想定しがたいでしょう。

 

だとすれば、「固定金利を選ぶのが正解?」と思うかもしれませんが、そうとも言い切れないないから悩ましいのです。なぜなら、通常、金利は変動金利よりも固定金利のほうが高くなるからです。

 

今の日本はデフレから脱却するために異次元レベルの金融緩和を実施しており、そういった政策面を踏まえれば、まだまだ低金利が続きそうです。

 

先進国でワーストの規模となる財政赤字を抱えている日本の国家財政から言うと、日本政府としては、金利は若干の上昇で資産の価値は大幅に上昇するのが望ましいと思われます。つまり、借金の価値は低くして、金利は穏やかな上昇に維持することが望ましいのです。金利が大幅に上がると、財政破綻はすぐにやってきますから、日本政府の立場を考えると、大幅な金利上昇は考えにくいのではないでしょうか

財政破綻を想定するなら海外投資も選択肢に

ところが、その一方でマーケットにおける取引で決まる長期金利(長期プライムレート)については、先々の動きを警戒する必要が叫ばれています

 

長期金利とは、10年もの日本国債の利回りの推移のことです。この日本国債を買い求める投資家が増えれば、人気化に伴ってその価格は上昇し、利回り(長期金利)は低下します。反対に、この日本国債を売る投資家が急増すると価格は下落し、利回り(長期金利)は急上昇します。

 

実は、恐れられているのがその現象なのです。

 

日本が大きな財政赤字を抱えているということは、日本国債を膨大に発行していることを意味します。その点が不安視されて、日本国債が大量に売られる(長期金利が異常な上昇を示す)可能性が何度となく取り沙汰されてきました。

 

ローン金利は長期金利の影響を受けますから、そのような事態が現実となれば、変動金利を選択していると利息負担が急増することになります。

 

私がビジネスでローンを活用していた場合は長期保有を前提としていなかったので、さほど躊躇することなく変動金利を選んでいた側面もあります。

 

個人投資家として長期の返済を念頭に置く場合には、固定金利も検討したほうが無難かもしれません。あるいは、金利が実際に上昇傾向を示し始めた段階で、借り換えの交渉を行うのも一考です。

 

ただし、一般的には、金利が上がると資産の価値(価格)も上がり、賃料も上がります。シミュレーションをする際に、金利を上げて賃料を下げて……と、極端な悪条件を設定する人がいますが、それはナンセンスだと思います。

 

もちろん、そうなる可能性が全くないわけではありませんが、そこまで日本の破たんを想定するのであれば国内ではなく、海外への投資を考えるべきでしょう。

本連載は、2016年2月刊行の書籍『儲かる不動産の教科書』から抜粋したものです。稀にその後の法律、税制改正等、最新の内容には一部対応していない場合もございますので、あらかじめご了承ください。

儲かる不動産投資の教科書

儲かる不動産投資の教科書

和田 一人

扶桑社

新築物件VS中古物件、RCマンションVS木造アパート、ファミリータイプVSワンルーム、オフィスVSレジデンス、固定金利VS変動金利…。本当に儲かるのはどっち? 真のプロだけが知っている、本当に価値ある投資物件の見分け方を伝…

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