今回は、物件の真の収益性を示す「賃料単価」について見ていきます。 ※本連載では、キャピタリー・アドバイザリー株式会社不動産投資部長 和田一人氏の著書『儲かる不動産投資の教科書』(扶桑社)の中から一部を抜粋し、本当に価値のある不動産を見分ける理論的な評価方法を、初心者でもわかりやすい事例を紹介しながら、その根拠となる評価基準を解説します。

業者が提示する利回りは「本当の収益性」を示していない

東京都内の物件価格がすでにかなり上昇し、それに応じて利回りが低下してきたことから、地方の物件を紹介する業者が増えています。

 

「岡山市は人口がそれなりに多くて賃貸需要も確実に見込める穴場ですよ!」

「穴場中の穴場は愛媛県の松山市。まだ優良物件がたくさん残っています!」

 

読者の中にも、こんな営業トークを耳にしたことがある人がいるかもしれません。東京などと比べれば、地方の物件価格はまだあまり動いていないので、確かに表面的には利回りの高さが目立つでしょう。

 

しかし、あくまでそれは「表面上」の話にすぎません。

 

不動産投資を始めるうえで最初に覚えておいてほしいのは、「業者がもっぱら提示する利回りは本当の収益性を示していない」ということ。

 

彼らが口にしているのは「表面利回り」で、「満室になった場合の年間賃料収入」を「物件の販売価格」で割って算出した数値なのです。

 

言い換えれば、最良の状態(満室)を想定した収益性であるうえ、その物件を手に入れる際はもちろん、購入した後にも発生する諸経費をまったく考慮していません

 

空室が出た場合のことをどのくらい見込んでおくべきかを説明するのは、まだ第2章を読んでいる現時点において、ハードルが高いかもしれません。そこで、ここではちょっと脇に置いておき、諸経費を踏まえた実質的な利回りで改めて東京の8%と地方の10%を比較してみましょう。

なぜ地方の「経費率」が大幅に高いのか?

詳しくは第3章(※書籍参照)で説明しますが、不動産投資においては様々な経費が発生します。年間に得られる賃料収入に対し、それらがどの程度の割合を占めるのかを表した数値を経費率と呼びます。

 

大まかに見積もると、東京の物件における経費率は15〜20%で、地方の物件の場合は30〜40%となります。

 

「どうして、地方の経費率のほうが大幅に高くなるのだろう?」

 

きっと、こう思った読者も多いでしょうが、それは東京と比べて地方では、1坪当たりの賃料収入である「賃料単価」がかなり低いからです。

 

「賃料単価」とは、賃料を「貸床面積(建物の中で貸し出している部分)」で割って算出したもの。高いほど、収益性が高いと言えます。

 

では、この経費率を考慮した利回りはどうなるでしょうか?それぞれ20%と40%の経費率の分だけ割り引いてみると、東京が6.4%、地方が6%という利回りになります。

 

このような実質的な利回りのことを不動産業界では「ネット利回り」と呼んでいます。他の観点からも「真の利回り」を測定するいくつかの計算方法があるのですが、それらは第3章で説明します。

 

とにかく、ここで重要なのは、「ネット利回り」で比較してみたら、実はどちらもほとんど同程度の収益性だと判明したということ。

 

だとすれば、地方よりもはるかに需要が多い東京の物件を選んだほうが有利だという結論が導かれるでしょう。

 

別の言い方をすれば、「表面利回り」が同じ数値なら、東京の物件のほうが地方のものよりも「ネット利回り」が高くなるのです。そして、こうしたギャップをもたらしているのが「賃料単価」なのです。

 

[Point!]

ネット利回りで考えると、収益性は同程度になる!

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    本連載は、2016年2月刊行の書籍『儲かる不動産の教科書』から抜粋したものです。その後の法律、税制改正等、最新の内容には対応していない場合もございますので、あらかじめご了承ください。

    儲かる不動産投資の教科書

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    和田 一人

    扶桑社

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