前回は、世界基準の接客サービスを生む「おもてなし」の進化について考えてみました。今回は、 ホテル、旅館のサービスの原点ともいえる来客者への「声がけ」が、対外国人観光客においても重要な理由を見ていきます。

予約の確認をする前に、まずは「挨拶」を

ホテルでも旅館でも、お客様に向かっていきなり「ご宿泊ですか?」と問いかけることは避けたいものです。お客様の宿泊の予約状況の確認は大切なビジネスの業務ですが、その前に必ずしていただきたいことがあります。それは、笑顔でHello./Goodmorning.「いらっしゃいませ」「おはようございます」のひと声をかけることです。

 

学校で習う以前から日本人ならほとんどが知っている挨拶ですが、このフレーズを自然に使える人が案外少ないのが実情です。日本語であれば自然に出てくる「いらっしゃいませ」が、英語になると途端に出てこなくなります。ホテルの廊下ですれ違うときにも、挨拶(声かけ)は大変重要になります。声かけはお客様の存在を十分に認識していることを表します。

 

言葉だけでなく、表情、視線で相手の存在を認識する。そして相手がそれを受け取ることが必要です。私は研修をする際には、ここを必ず理解してもらうようにしています。

 

本書の第1章でもお話ししましたが、まず、ひと声かける。これは相手の心に働きかけるハート・コミュニケーションでの対応となります。当ホテル、当旅館、当店、ひいては日本の大切なお客様と考えれば、自然と出てくる言葉になるはずです。まずはHi./Hello./Howareyou? を習慣にしましょう。

サービスの原点「5つのA」とは?

海外からのお客様をもてなすときに、こんな声を聞きます。英語が苦手、勉強する時間がない、英語ができる人材の確保が難しい・・・。しかし、これから紹介する5つのカテゴリの言葉を集中的にマスターするだけで、必ず対応できるようになります。Hi.やHello.もこれらの言葉に含まれています。

 

本書の第2章の冒頭でお客様への声かけによっても左右される第一印象について触れましたがそれは私の考えるサービスの原点である「5つのA」に含まれています。

 

①Acknowledge:お客様を認識・共感する(お客様の存在、気持ちに気づき、反応する)

視線の端にお客様をとらえた時、あるいはお客様の視線の端に自分がとらえられた時から、コミュニケーションは始まります。「私はお客様に気づいていますよ」というメッセージを伝えます。相手の何気ない行動、言葉にきちんと反応します。

 

②Assure:お客様に安心を与える(お客様に安心していただく、余計な心配をさせないための配慮)

電話の窓口や受付で「〇〇担当の〇〇です」と名乗ることもassureの一つです。お客様に、自分が担当であることと名前を告げることでお客様の不安を取り除き、安心していただくことができます。

 

③Appreciate:お客様に感謝を伝える

「お待たせして申し訳ありませんでした」と伝える代わりに「お待ちいただいてありがとうございました」と感謝を伝えるのもappreciateです。

 

④Affirm:お客様を肯定する

お客様の気持ちや苦情に対して真摯に耳を傾け、おざなりではない相づちを打つのもaffirmの一つです。

 

⑤Apology:お客様に心からの謝罪を伝える

「~してくださってありがとうございます」と、感謝を告げることでは場が収まらない場面もあります。心から謝罪するのがapologyになります。

 

次回は、5つのAについて具体的に解説していきます。

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