ビジネスの結果を大きく左右する「おもてなし」の巧拙
本書『世界基準の「接客サービス」』の第1章では、日本のインバウンド観光サービスの現状とその問題点を中心に探ってきました。数々の課題を背負いながらも、日本の観光サービスの将来は決して暗いものではなく、大きな可能性を秘めていることもわかっています。
生来、日本人が「おもてなし」の心を持ち合わせているにもかかわらず、実は「世界基準の接客サービス」に到達していないために引き起こされるさまざまな失敗例があるという事実もお伝えしてきました。
そして「おもてなし」は相手をただ単に喜ばせるものではなく、数字を追求する「ビジネス」と深いつながりがあることも踏まえ、私たちは「おもてなし」をさらに進化させていかなければなりません。
世界基準のサービスは「第一印象」から
おもてなしを世界基準へとさらに進化させていくために、再認識していただきたいのが第一印象の大切さです。第一印象は世界基準のサービスへつながるファーストステップなのです。
日本へ一歩を踏み入れた外国のお客様は通常、ホテルや旅館へと向かいます。飛行機や船での外国旅行は長旅です。よほど旅慣れていない限りは、心身ともに疲れるもの。それが、初めての海外旅行であればなおさらでしょう。
空港や港からそれぞれ宿泊ホテルへ。フロント係や受付は、来日客が初めて会話らしい会話を交わす相手かもしれません。初めて降り立つ地で、不安半分、期待半分のお客様への対応の場です。ここでの第一印象はこれからの日本滞在の印象を左右するほど重要なものとなります。
その局面を失敗なく、少しでも良い印象を与えながらクリアするためには、決してしてはならないことがあります。もしかしたら、案外皆さんが気づかずに日常的にしていることかもしれません。