前回は、ビールに含まれる「プリン体」の量について説明しました。今回は、ビールの「カロリー」と「肥満」の因果関係について見ていきます。

焼酎やウイスキーに比べて糖質が多い「ビール」

さて、ビールが健康に悪影響を与えるといわれる、もう一つの原因である「太ること」についてみていきましょう。

 

まず、ビールのカロリーは他のお酒と比べると、商品によって差はありますが、目安としては次のようになります(『五訂増補日本食品標準成分表2010』)。

 

●缶ビール・淡色1本(350㎖):約140カロリー

●缶ビール・黒1本(350㎖):約161カロリー

●缶ビール・スタウト1本(350㎖):約220カロリー

●中ジョッキビール1杯(500㎖):約210カロリー

●乙類焼酎1合(180㎖):約260カロリー

●ウイスキーシングル(30㎖):約70カロリー

●ワイン1杯(120㎖):約88カロリー

 

お酒のカロリーは、含まれるアルコールの割合で異なります。アルコールは1グラムあたり7キロカロリーですから、炭水化物やタンパク質(ともに1グラムあたり4キロカロリー)よりも高カロリーといえます。基本的にはアルコール度数の高いお酒ほど、カロリーも高くなる計算です。

 

なぜビールはカロリーが高いかというと、糖質が含まれているからで、これは醸造方法の違いからきています。

 

ビールや日本酒、ワインなどのいわゆる醸造酒は、原料の麦芽や米、ブドウに酵母を加えて発酵させます。この際、原料に含まれる糖分を、酵母が分解することでアルコールが生まれます。これは、太古の昔に生まれたお酒の造り方です。

 

原料に含まれている糖分のすべてがアルコール発酵に使われるわけではありません。できあがったお酒の中に若干残り、この残糖の量によって甘口・辛口といった味のタイプに分けられています。

 

これに対して、焼酎やウイスキー、ウォッカなどのいわゆる蒸留酒には、糖質が含まれていません。これらは、アルコール発酵した原料を蒸留して、アルコール分だけを集めて造られます。ですから糖質は原料の中に残るため、蒸留されたアルコール中の糖質は0になるのです。

 

したがって、醸造酒は糖質が残っているのでカロリーが高くなり、蒸留酒は糖質を含まない分カロリーが低くなるわけです。

飲む量だけでなく、おつまみの選択も重要

また、飲む量も大きなポイントになります。例えば、2時間の飲み会の間に中ジョッキで5杯飲めば1000キロカロリーを超えてしまいますし、ウイスキーでもボトル(750㎖)を半分空けてしまうようでは875キロカロリーになる計算です。

 

ビールのカロリーの大部分はアルコールに由来します。アルコールのカロリーは、血行促進や体熱の上昇などに多く消費されるため、ご飯やパンなどの炭水化物のカロリーと比較して、グリコーゲンや脂肪となって体に蓄えられることは少ないといわれています。

 

それでは、どうして太るのかといえば、ビールには胃液の分泌を促す作用があるために、食欲を増進させて食べ過ぎてしまうからなのです。つまり、ビールを飲みながら、おつまみも同じペースで食べていることで、カロリーオーバーになって太るのです。

 

特にビールの場合は、シュワッと爽やかな喉ごしを与える炭酸が含まれていますので、揚げ物をはじめとした油を使った料理との相性がとても良いのです。ビールのおつまみとして、つい唐揚げやフライを食べてしまいがちになるため、おつまみ自体が高カロリーになる傾向があります。

 

また、ビールは塩気とも相性が良く、味の濃いおつまみと一緒にビールを飲むと、より美味しく飲めてしまうのです。

 

肥満は糖尿病の原因の一つでもあり、糖尿病になると血液中に余分なブドウ糖(糖分)が溢れ、それが体内のタンパク質と結びついた上に、体温の熱によって体内の組織をコゲつかせるAGEsを作り出してしまいます。つまり、老化を速めて寿命を縮めるのです。

 

しかし、先のJカーブ効果でおわかりのように、適量のビールは2型糖尿病による死亡リスクを減らします。これは、体の酸化だけではなく、糖化も抑えられているといえるのではないでしょうか。

 

なぜなら、ビールには抗酸化作用の強い各種ポリフェノールが含まれているほかに、糖質の代謝を助けるビタミンB群が豊富に揃っているからです。

 

このようなことから、痛風や太ることを防ぎつつ健康的にビールを楽しむには、飲む量のほかに、おつまみに何を選ぶかも重要になるといえそうです。

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