前回は、ビールの「カロリー」と「肥満」の因果関係について説明しました。今回は、ビールのおつまみには「枝豆」が最適といえる理由を見ていきます。

枝豆&ビール! 栄養学的にも理想的な組み合わせ

ビールのお供といえば〝枝豆〟と、誰もが答えるほどの定番となっていますが、実はこの組み合わせが栄養的にも理にかなっていることをご存じでしょうか。

 

枝豆は、「畑の肉」といわれるほど栄養価が高く、タンパク質や糖質、脂質のほかに、ビタミンB1、B2、B6、C、K、葉酸などのビタミン類、カルシウム、マグネシウム、カリウム、リン、鉄分、マンガン、亜鉛、銅、セレンなどのミネラル類、そして食物繊維などが豊富に含まれています。おまけに、大豆には含まれていない抗酸化作用のあるβカロテンの含有量も多いのです。

枝豆を食べることで、飲み過ぎや二日酔いの予防にも

実は、体内に備わっている抗酸化酵素であるSODが活性化するにはミネラルが必要不可欠で、細胞内のミトコンドリアにはマンガン─SOD、細胞膜には銅・亜鉛─SODというようにミネラルが結合しています。これらのSODは、最も重要な部分である活性部位には必ずミネラルと存在し、マンガン、銅、鉄、亜鉛などと結合して活性酸素を除去しているのです。

 

SODだけではなく、過酸化水素を分解して水に変える酵素であるカタラーゼは鉄やマンガンと、ペルオキシダーゼはセレンというミネラルと結合しています。

 

このようにSODなどの酵素を活性化するにはミネラルが必要となり、それに必要なミネラルが枝豆には揃っているのです。

 

ビタミンB1、B2は、糖質や脂質の代謝、エネルギー転換を促すことから、疲労回復や夏バテの解消に効果的な上、必須アミノ酸の一つである「メチオニン」にはビタミンB1、Cとともにアルコールの分解を促し、肝機能の働きを助ける作用がありますから、枝豆をおつまみにすることで飲み過ぎや二日酔いを防ぐことができます。

 

また、カリウムがたくさん含まれていますので、摂り過ぎた塩分や水分を排泄して体内の水分量を調節し、むくみの解消にも効果的です。さらに、食物繊維も多いことから便秘の解消や、腸内環境を整える効果も期待できます。

 

タンパク質を多く含んでいると簡単にいいましたが、さまざまなアミノ酸が枝豆には含まれており、アミノ酸スコアが大豆より高いのも大きな特徴といえます。

 

アミノ酸スコアとは、リジン、トリプトファン、フェニルアラニン、ロイシン、イソロイシン、スレオニン、メチオニン、バリンという8種類の必須アミノ酸のバランスを数値化したものをいいます。アミノ酸スコアが100に近いほどバランス良く含まれているとして、タンパク質の「質」が良いと評価されます。

 

一般に「良質なタンパク質」といわれるのは、このアミノ酸スコアを基準としています。8種類の必須アミノ酸のうち、1種類でも不足していると有効に活用されないため、アミノ酸スコアは0となります。この評価で、大豆が86に対して、枝豆は92なのです。

 

私たちの体はタンパク質で構成されており、アルコールを代謝する肝臓も、分解する酵素もタンパク質でできています。ですから良質なタンパク質を摂ることは、肝臓の代謝機能が促進され、結果としてアルコールの分解も活発になります。

 

また、何らかの原因で肝臓が障害された場合も、それを修復するのはタンパク質であるため、体に必要なアミノ酸をすべて摂れる枝豆は肝臓を守り、ビールに不足がちな栄養素も補うことができるのです。

 

さらに、必須アミノ酸ではありませんが、枝豆には美肌や若返りに効果的な成長ホルモンの分泌促進の役割を果たし、疲労回復機能が高い「オルニチン」も含まれています。このアミノ酸は、シジミなどに多く含まれていることで有名ですが、枝豆にもたくさん含まれています。中でも、だだちゃ豆にはシジミの数倍のオルニチンが含まれています。

「病気知らず」の体をつくる ビール健康法

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大川 章裕

幻冬舎メディアコンサルティング

ビールで病気を予防する⁉︎ ビールが老化や病気の原因となる「体の酸化」を防ぐ効果が高いと聞いたら驚く人は多いでしょう。 しかし、ビールは古くから健康維持に用いられた歴史を持っており、近年ではその効果が科学的に…

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